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新垣結衣さんと、どこかの誰かへ
新垣結衣さん、ご結婚おめでとうございます。
「落下女」で見せたその可憐さで幾多の男子学生の心を奪い、その後はさながらポッキーのように一直線にスターダムをのし上がった2010年、「情熱大陸」で見せた姿は、極細ポッキーのようにいつ折れるやも知れぬほどあまりにもナイーブで、見るにいたたまれない思いがしたものでした。
そうして時が経ち、時折バラエティで見かける新垣さんは、非常にバランスの取れた大人のたたずまいでした。どんな人たちとの出会いが、何との邂逅がそれをもたらしたのか、自分もいつか一角の人間となり聞いてみたいと思っていましたが、はたして表舞台にいつまでいらっしゃるのか、その目標も諦めるときがきたのかもしれません。
たとえばいちファンとして、くだらない投票の一環で、「新垣結衣生涯独身」か、「星野源との結婚」のどちらを望むかと問われれば、ノータイムで後者を選ぶわけで、願わくば子宝に恵まれ、幸せな家庭を気づいてほしいと切に祈るものの、YouTubeのサムネイルやインスタグラムで二人の並ぶ姿が滝のようにあふれてくると、どこか胸につかえるものがあったものでした。
そうしたところに、結婚発表メッセージ【全文】なるものが公表され、それは次のような言葉で締め括られていました。
”家族が、仲間が、皆様が、どこかの誰かが、どうか無事で、心身共に元気でありますように。
元気でなくても、祈っています。”
この獅子吼ともいうべき優しさと頑固さに、その愛の範疇に、すべてが凝縮されていて、胸につかえていた独りよがりのヘドロのようなものは、やがて振動をはじめ、気体となって昇華しているように感じられます。
新垣さんは観察の人だと思います。かつて映画の取材にて受けた「中高生の時どんなタイプの人が好きでしたか」という質問に対して、
”すごくシャイで、すごく優しくて、目立たないんだけど、実は慕われるようなタイプですかね”
と答えている様子が週刊少年マガジンのルポ漫画に描かれています。決して口達者な印象はありませんが、ここには、彼女の目を通してその人の仕草を見ているような鮮やかな描写があります。
また別の取材にてアナウンサーから受けた「新垣さんみたいな素敵な大人レディになりたい」との言葉に対しては、
”素敵とは?何が素敵ですか 〇〇さんの中で。”
と返します。日ごろの心の動きの機微をじっと見つめて、言語化を試みてきた人ならではの返しではないかと思います。
そうした観察の先に、「自分の目や耳には入ってこないけれど、この世界でたしかに起きていること」を思い、祈っているのでしょうか。
いわゆる慈心は世間に遊ぶ
今日もどこかの誰かが、他を慈しみ、他に寄り添うこころを育んでいきますように。
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