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Perky Old Chicken

 私らしくもないはたらき方を強いられたおれたちへ

 起きたくもない時間に起きるには寝たくもない時間に寝なければならない。

 周りの都合でスケジュールは埋まり、ミスをして詰められることはあれど、ファインプレーで拍手を浴びることはない。

 誰のためにやっているのか。何のためにやっているのか。

 そんなおれたちへ、デニス・ロッドマンの言葉を紹介したい。
 バスケットボールの最高峰、NBAの歴史に名を刻むプレイヤーである。

 マンガ『スラムダンク』の主人公、桜木花道のモデルとも言われ、そのド派手なヘアースタイルはあまりにも有名である。
 プレイスタイルでは、ゴールから外れたシュートを拾うリバウンドで唯一無二の存在感を示したが、泥臭いとされるリバウンドへの執念について問われ、このように答えている。

(ダーティーワークをいとわなかったのはなぜですか?との問いに対して)
ダーティーワーク? 仕事に奇麗も、汚いもない。あるのは、与えられた仕事をやるか、やらないかだけだ。俺はスラムで生まれ、ガキのころから働いてきた。修理工場でオイルにまみれ、エンジンを直した。農場で3年間、働いたこともある。どんなに寒くても朝5時半には起床し、牛にエサをやった。エンジンが動くようになること、牛がちゃんと育つこと――そこに達成感を感じたし、誇りだった。ヘッドコーチに、「リバウンドを取ってこい!」と言われたから、相手が大きかろうが、強かろうが、己の仕事をこなしただけだ。
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/otherballgame/basketball/2013/10/30/post_223/index_2.php

 突き抜けたファッションとド派手な素行から、大味な性格に誤解されがちだが、この竹を割ったような迷いのなさをおれたちは見習う必要がある。

 頭の中で仕事の意味をこねくり回し、理想の虚構に引きこもっている限り、世界は変わらない。世界は自分の外にあるからだ。自分の城を抜け出して、世界にはたらきかけていったとき、視界は一気に開ける。
 外には他人がいる。話しかけるのか、親切にするのか。おれたちはどう生きたいのか。

 どう働きたいのか、ではなく、どう生きたいのか。

 起きたくもない時間に起きたそのときから、決定の連続が押し寄せてくる。己を己たらしめるのは、おれたちを忙殺するタスクそのものではなく、言葉や動作のトーンである。冷たく言葉を発するのか、あたたかく言葉をかけるのか。
 言葉のトーンで伝わり方が変わるように、動作にもトーンがあり、周囲の受け取り方は変わる。

 きっと楽しくなってくる。
 自分が変わることで相手が変わり、相手が変わることで自分が変わっていく。

 おれたちはサラリーマンだ。
 生き方に比べれば、はたらき方などささいな問題に過ぎない。

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