リバプール vs マンチェスターC を見て感じたこと

レビューじゃないです。
試合展開がどうとか、システムの噛み合わせがどうとか、そういうのではなく、試合を見ながら思ったことの中で、特に強く思ったことを書きなぐったものです。


■シティの最近出た攻撃とリバポの守備

今シーズン始まったぐらいの時は、「あ、もう、ポケット(相手ペナルティエリアのインサイドレーン)に侵入してのグラウンダークロスに拘るのやめて、ミドルパス的なクロスを中心とした攻撃に切り替えたんだな」と思った。
シティに対して守備を固めた相手に対して、ポケットに侵入するのには多くの手間がかかる割に、グラウンダークロスを入れる頃には相手のブロックが出来上がって味方にまでボールが届かないシーンがあるから、コスパが悪いと判断してもしょうがないだろうと考えた。

ところが、たまたま自分が見た直近の2試合では、またちょっと違った攻撃を多く見せていた。
それが『WGで最深部までえぐってゴールライン上からマイナスのクロス』という原点回帰。
なぜ原点回帰なのかと言うと、確かペップの師であるクライフが「ゴールライン上からのマイナスクロスは得点率高い」みたいなことを言っていて(曖昧な記憶でソース無し)、しかもWG(ウイング)についてもクライフの印象が強い。
だからその優れた突破力を持ったWGを使ってのゴールライン上からのマイナスクロスは原点回帰と言えるのではないかと。

でもなんで急に原点回帰をしたのか、と言うところだが、それが直近2試合の内、最初にあったサウサンプトン戦。
1点のリードを許した状態で、サウサンプトンの低い位置で人数をかけた守備に対して、ミドルクロスアタックではなかなかゴールを割れず、もどかしい状態だった。
で、この試合の途中から、急にWGが深くえぐるようなプレーを見せ始めた。
「WGがゴールライン上まで行ってクロスだ!」と言う指示が出ていたんじゃないかと思うぐらい、本当にゴールライン上からのクロスを狙っていた記憶がなんとなくある。
たぶん「DFラインの裏を全然使わせてくれない!だったらいっそのことゴールラインまで下げさせてDFラインの前を使ってやるよ!」とキレたんだと思う。
そして直近2試合の内、より最近のCLアタランタ戦でも、その狙いを見せていた記憶がある。なんとなく。

だからこのリバポとの試合でもそれを狙っていくのかな〜なんて思っていたけど、それほどそのシーンは無かった。
と言うより、出せなかったと言うべきか。
早い段階で2点リードしてたのもあるかもしれないけど、シティのWGに対してリバポのWGが対峙してSBがカバーに入る形もあるぐらい、とにかくラスト20mのスペースを潰してサイドの深い位置からの侵入はほとんど許さなかった。
シティの速攻的な展開でも、とにかく戻ってスペースを埋めるのが早いのなんの。
しかも、クロスを出したところで、ファンダイクがシューターを封じている。
シティからすると、左サイド=サラー側から攻撃しやすいかもしれないけど、本当はファンダイクを釣り出すために右サイドから攻撃したかったんじゃないだろうか。

とはいえ、そのシティの攻撃は自分の思い込みかもしれないし、なんとも言えない。
本当に最近その形を狙っていたとしても、ゴールラインまでえぐると言うことは、奪われたらそのWGは置き去りにされた状態になるからリスクが高いとも言えるし。
そもそも本当にその形を狙うなら、WGを利き足サイドに配置すると思うし。
この試合では狙わなかったのか、元々そんな狙いなんか持ってやったことなかったのか、それはわからない。

で、結果リバポの3点目がゴールライン付近からのクロスっていう。



■機動力

どのポジションでも『機動力』が大事だと改めて感じた。

『機動力』とは調べると「戦略・戦術上の必要に応じ、軍隊として迅速に行動する能力。状況に応じてすばやく活動できる能力。」などの説明が出てくるが、ここでは『機動力』=自身が目的の場所に到達するスピード、としておく。

単純に走力のある選手はこれが高いと言えるし、読みや思考スピードでこの能力が高い選手もいる。
そして中には、最終的に居たい場所の状況から逆算して、自分が早くなる状況を作っているような選手もいる。

近年のサッカーでは、トップレベルでやるには、それ相応の機動力が無いと話にならない。

で、この機動力。
シティのロドリはこのレベルでやるには機動力がまだ少し足りないと常々思っている。
テクニック的なスピードは高いが、機動力は低い。
「そこに居てほしい」っていうところに居ないか遅れることが攻守ともに良くある。
かと行って足が速いわけでも無いから誤魔化せない。
やっぱりこの試合でもそう感じた。

ロドリと似た選手と言われているブスケツなんかは「そこに居て…あ、もう居る」となることが多かった(最近見ていないので過去形)。
これは機動力が高いと言えるだろう。
相手FWなんかと並走すると、走力は高く無いと思わせるレベルなのだが、攻守において、とにかく良いところに居る。
またロドリと同じチームのフェルナンジーニョなんかも、機動力が高い。
特に相手にボールを奪われた際に、中盤で速攻を止める時なんかは、「ここでもフェルナンジーニョ」って思うぐらい、どこにでも現れて刈り取る。
ロドリも彼らぐらいのレベルの機動力があれば申し分ないが、現状は物足りないと言わざるをえない。
もちろん、思考スピードは戦術的な成長で埋まるから、ロドリの成長によってはこれからどうなるかはわからないけど。

この試合には出てないけど、同じようにシティのメンディなんかは走力が抜群に高そうだけど、機動力は低い。
コンディション的なものなのかもしれないけど、普段はジンチェンコで、大事なこの試合でアンヘリーノ、という左SBの序列は、このメンディの機動力の低さが影響しているかもしれない。
メンディは足は速いが、居るべき場所に居てほしいタイミングで居ないし、ボールを持った時の判断精度の低さも含めて、味方の機動力を落とすようなプレーも見られ、現状としては機動力としてはかなり低いと思う。
ロドリと違って走力的なものは持っていそうだから、戦術理解さえ追いつけばかなり化けるとは思うが、怪我がちでなかなか練習に参加できていなかったところがどう響くだろうか。
賢い選手であることを期待したい。

そう考えると、コンディションっていうのはこの機動力にもいろんな意味で影響するからやっぱり大事。

それと、最低限の個人戦術が無意識で出来るレベルじゃないと走力以外で機動力を高めることが難しいから、やっぱり小学生年代から基本的な戦術をちゃんと身につけていかないと、こういう超トップレベルでやっていくのは難しいと思う。
基本的な戦術が身についてないにしても、高い思考力は身につけておかないと、このスピード感でプレーできない。
思考停止で指示通りにやります!勢は気をつけないと。


ちなみに、『機動力』を「自身や”ボール”を目的の場所に到達させるスピード」としても、やっぱりこの両チームの能力は高い。
判断的なスピードやプレーの正確性はもちろんのこと、それぞれのキック力もおかしい。
ドリブルでの機動力も尋常じゃない。
とにかく早くボールも人も動く。

どのレベルでやるかは、ボールも含めた機動力によって決まるかもね。



■ビルドアップ

何度かツイートしたけどもうリバポもシティも自陣ではこれ。
場合によってはゾーン2(ピッチの真ん中ぐらい)でもこれ。
両チームともチームの後方で回すときは基本これ。
リバポは形として決まっていないかもしれないけど、結果的にこれになって打開していることは多々ある。

なんでこれなのか、って言ったら、これならプレスを回避できる可能性が高いから。
で、もちろんこれだけが正解なわけではないから、相手のプレスの状況によって形を変える。
無駄に後方に人数かけてもしょうがないし。

ここでイカれてるのが、シティもリバポも前4〜5人のプレスでこれをなんとかしてしまう。
この両チーム相手だと、生半可なプレスだと6人でも奪えないのが、この形のビルドアップ。
シティは先日のCLでのアタランタによるマンマーク気味の6〜7人のプレスですらどうにかしてしまっていた(GKエデルソンのスーパーパス能力もあってだが)。
そんなレベルのビルドアップに対して、その人数のプレスで対抗してしまう。
もちろん全て高い位置で奪えているわけではないが、けっこう奪えているのがすごい。
上記『機動力』が頭抜けた両チームだからこそ可能なのだろうけど、ちょっと異常。

でも、前半終わり間際のシティのゴールキックで後ろから繋ぐことをやめたのは、実況解説の方が言う「繋ぐの無理」の判断じゃなくて、時間的にリスクを負いたくなかったからじゃないかな。



終わり

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