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5バック(3バック)の守備考察

2021/05/09(日)にやっていたシティ対チェルシー、そして同じ日にやっていたバルサ対アトレティコの試合を見てのちょっとした考察。

この二つの試合は、偶然にも4チーム共5バックだった。(3バックと言う人もいると思うけど、いわゆるフォーメーションっていうのは守備時の陣形を指すことが多いと思っているので5バックと言っておく)

その配置にした意図がどうとかは置いといて、先に見ていたシティ対チェルシーの試合で、その5バックでの守備が気になった。


最初に用語を。5バックの中3人(3CB)の左右を「HV」とか言うらしいけど、イマイチ何の略なのかピンとこないのでここでは「IB(インサイドバック)」としておく。


まず原則的なところだと、5バックだろうと4バックだろうと「DFラインは揃える」が基本になる。

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揃ってないとギャップ(スペース)が出来まくって管理が大変だから。

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だからといってずっと揃えたままだと、それはそれで相手の攻撃を楽にしてしまうことがあるので、どこかでラインを崩して飛び出たりする必要もある。

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この図は、ボールを受けた相手に前を向かせたくなくて右IBが飛び出して、残りのDFラインがその空けた穴を塞いでる。(ここで前を向かせないことが出来てるなら、右SBは相手SBを狙える位置にいて良いとは思うけど、例えだからね!)

ラインを崩して出る時は、「飛び出したところで寄せきれている状態を作れる時」にしたい。

じゃないとラインのギャップを使われてしまうからね。

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もちろん、空けたギャップを使われる心配がない(ギャップを使う相手選手がいない)なら、ガンガン持ち場を離れて出ていっても大丈夫だけど。


相手の攻撃位置とDFラインのギャップを気にしないでラインを壊すと、「寄せきれて”いない”状態」を作ってしまう。

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この図の状態になったら、右IBはより危険なゴール前のスペースを空けないために、「ボールホルダーにアタックに行かない」ことで味方が戻る時間を稼ぐ選択も必要だったりもする。(ゲームモデルでそれを定めているチームもある)


で、ここからが本題だけど。

チェルシーはこの5バックのラインがよく保たれている。無闇に出ない。空けて出る時は即埋める。埋められる状態で出る。前線のプレッシャー状態に合わせて狙えるなら出る。ダメなら出ない。

そうやってよくラインが保たれていて、特にゴール前の守備では、5バックにはそう簡単にギャップが出来ない。

それには中盤の貢献も大きい。DFライン(主にIB)が飛び出なくてもよい状態を作ったり、IBが出て出来たギャップを埋めるムーブも見せたりと、CHカンテを中心に、とにかくDFラインにギャップが発生しづらい。

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片やシティはというと。

CHが一人(しかも残りの二人の中盤は攻撃的な選手)で、IBの前のスペースを埋める人がいないからIBがよく出ていく。

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チームのスタイルもあるから、プレス時はもちろん、ゴール前の守備でも果敢にSBやIBが出ていくシーンが見られた。


両チームの戦略に則ったプランだから、どっちが正しいというわけではないけど、シティの守備はけっこう危なっかしく思えた。

特に左SBメンディが前に出た後に戻ってこれないし背後を取られまくるし、でそれプラス、CHもロドリ一人でそこまで助けてもらえないという、左IBアケの気持ちを考えたら、この仕組で守り切るのはすごいギリギリの判断が必要だなと。

更に左SBメンディだけじゃなく、右SBカンセロも積極的に前に出ていくので、後方は実質3バックになることが多く、その3バック脇のギャップに向かって、センターから横方向に飛び出すチェルシーFWヴェルナーのムーブなどで、かなり裏を使われてた印象があった。

怖いね。


とはいえチェルシーの守備が絶対的に無敵だったかと言えばそうじゃなくて、そのめんどくさいチェルシーIBを引き出すために(かどうかはわからないが)、2トップ+2シャドーのようにして、フリーになりやすいチェルシーCH横から侵入したりしてチャンスは作っていたと思う。

5バックを攻略するならIBをどう引き出すかがポイントになるからね。

シティは直接的にIBを引き出そうとしてたけど、普通はIBを引き出すにはその周辺のやつらを剥がさないと、IBはなかなか出てきてくれないからね。

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そう考えると、IBを釣り出すために、わざとIBが取れそうなボールをIB前のスペースに出すっていう方法もありかもね。

この試合では、最終的にシティは単純なロングボールでチェルシーDFラインの背後を狙える事もできたから、そういう攻略もありだと思う。

あとはバルサ対アトレティコでメッシがやっていたように、サイドからインに入ってくる強烈なドリブルとキックでDFラインにギャップを作る方法もあるけど。


そのバルサ対アトレティコもCHの人数がちょうど1対2だった。

ディテールには違いがもちろんあるけど、大枠として、守備の穴になりやすいポイントとかは同じだな〜と思いながら見てた。


以上、「5バックは迷ったら出るより揃えろ」の方が間違いなさそう、の考察でした。


終わり

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