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子どもが一歳になりました

先月、子どもが一歳になりました。
おめでとう!そして、ありがとう。これからも元気でいてください。私も頑張ります。


昨年、私は分娩台の上で6時間を過ごしました。陣痛室じゃないです、分娩台の上です。
分娩台の上っちゅうもんはですね、子宮口が全開間近になって「もうすぐ産まれるね!」と助産師さんに言われてヨロヨロしながら行くところです。そんな状態が6時間続くとは、参っちゃいましたね。

そうして一人めを出産した私は、ゼェゼェハァハァしながら「赤ちゃん…かわいい…」と思い、母性が立体的に溢れる不思議な感覚を味わい、そして「もう二度といやだ」「いやだいやだいやだ」と思いました。

一人っ子だ!そうしよう!と誓いましたが、今は二人目のことも考えています。(時期は未定)痛みを忘れたわけじゃないです、絶対に忘れたらんです。



お子はこの一年、少しずつ世界を知っていきました。

お腹がすいた!と泣いて「ミルク作るからねー」と声かけしながらようやく飲ませたらすぐに寝て、寝るか泣くかミルク飲むかしかしていない新生児の毎日。おしっこやうんちで泣かないから「オムツが気持ち悪い感覚が無いんかなあ」と心配した。ぼんやりとした顔で私を見つめる。ほっぺたやお腹をツンツンするとふふっと笑う。最初に持ったおもちゃはオーボール。何もしていないのに何か楽しいことがあったのか思い出したのか一人でに笑う。声とも言えない声でキャハーっと笑う。にぱーっと表情が緩む。産まれた時は自分のくしゃみにびっくりして泣いていたのに、いつの間にか自分のくしゃみに笑っていた。

赤ちゃんって意外とカサカサお肌で、こんなもんだよねと思っていたら三か月検診でひっかかった乾燥肌。両親ともにアトピー体質なんだから気をつけて見ないとだめだったと反省した。塗り薬と保湿薬でテカテカになる。汗をかいてもかわいい匂い。吸いたくなるほっぺた。泣き声が大きくなる。指の力が強くなる。寝返りをしてベビーベッドの柱に足をぶつける。お母さんとお父さんと敷布団で川の字になった。寝ながらごろんごろんする。川の字にならない。

進みたい方向を見ている。もう少し届かないおもちゃを見ている。そこに行きたいんだという意志を感じる。鼻息をふんふん言わせながら両手で床を押す。少しずつ進めるようになって、おしりをふりふりし始める。ハイハイをした。つかまり立ちをした。感動した。景色が広がった。世界は、天井と床だけじゃなくて、いろんなところにいろんなものがあった。触りたい。ひっぱりたい。掴んで振り回してみたい。ティッシュというものをひっぱるとお母さんが微笑んでいる。何枚もひっぱる。何枚もひっぱるとお母さんは慌てた顔をする。おもしろい遊びを見つけた。

タタタタと早くなったハイハイで私の足元にくっつく。私がキッチンへ行くと追いかける。私がお風呂場に行くと追いかける。集中しておもちゃで遊んでいたのに私が腰を上げると顔を上げる。お母さんセンサーがついている。「ちょうだい」と言うと手のひらのお皿にかわいいおもちゃが落ちてくる。「どうぞ」と返したのにまたすぐにかわいいおもちゃが落ちてくる。指差しをしない。心配した。意味のある言葉を発しない。心配した。何かあってもなくても愛しいことに何ら変わりはない。ただ、何もないに越したことはない。育児とはかわいいと大変の繰り返しではなく、不安や心配も入り混じってくるらしい。

一歩、一歩、「いちに、いちに、」と言うかけ声とともに、よろ、よろ、私の元へ歩く。ニコニコしながら一歩一歩進んで、抱きつくようにして緊張していた両足を緩める。その日5歩進むと次の日は10歩、その次の日は20歩。世界はまた広がって、昨日の君に戻ることはない。君の世界がどうか優しく豊かでありますように。これから先もニコニコした顔で歩んでいけますように。そう願いながらまた「いちに、いちに、」と元気に言う。



赤ちゃんの一年は、とっても大きいです。生後一か月単位でお祝いをしたくなるのは、一か月間の成長が濃いからで、一歳のお誕生日は特別に感じます。0歳ならではのリスクが多い中で、元気に一歳を迎えてくれてありがとうのお祝いです。

子どもが何か出来るようになるたびに、私は何か出来るようになったかな、と思っていました。
私は何も成長していません。楽器を触っていないから能力は落ちているだろうし、メイクをしなくなったからたまにメイクをすると手際が悪いし、どんどんキレイじゃなくなっている気がして、料理も凝って作っていたのに今や時短料理ばかりで、衰退していることのほうが多いです。

だけど、母としてぐんと成長しました。里帰り中は抱っこで寝かしつけていたけど、ワンオペ育児になってからそれじゃあ困る!と思い、勉強して、生後4か月以降は添い寝やトントン、放置しても寝るようになりました。2割は私の勉強の成果、3割は胎内音が出るおもちゃのおかげ、5割は子ども自身が寝る力を持っていたおかげです。

支援センターへ通って、母としてコミュニティに参加して、母として程よい距離感を掴みました。「ママ友」という、気を遣ってしまって友だちになりきれない関係は、私にとって少しストレスになると思って緊張していたけど、友だちになりきれないからこそラクな面もあるのかもしれません。優しいお母さんになりたいから、他所の子どもさんやママさんにも優しくあり続けます。


どこへも行かないで、ずっと側にいて、抱っこしてよ、と訴え泣く子どもに、どうしたら安心してもらえるのでしょう。どうしたら溢れんばかりの愛おしい気持ちが伝わるのでしょう。出会えて嬉しい、一生大切にする、ずっと味方だから、ずっと応援してるよ、大丈夫大丈夫、そう少しずつでも伝わるような子育てがしたいです。

立派な子育てはできないけど、愛情は精一杯伝えていくから、きっとなるようになるから、子どものペースで大きくなってくれたらいいなあと思います。

なにより嬉しいことは、子どもがこの一年間お熱をしなかったことです。ありがとう。(ミルク育児やと体弱なるって聞くけどさ、強い子に育ったどー!)

おしまい。

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