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1冊目:倫敦館夜想曲(野村あきこ先生)

noteに登録したものの、何を書けばいいのかなあと思っていたのですが……手始めに好きな漫画やオススメしたい漫画を紹介してみようと思います。続けるようであれば、小説とか新書とかも入るかもしれません。何冊やるかはわかりませんが、まあぼちぼちやっていきたいと思います。割と何でも読むので、ジャンルは恐らく大分とっちらかったことになるかなと思います。あ、でも少女漫画は90年代~00年代が多くなるかなあ。

そんなわけで、一冊目は野村あきこ先生の『倫敦館夜想曲(ろんどんかんノクターン)』です。この漫画が長年好きなのですが、多分マイナーなのかなと思います。今はもう引退されてしまった、野村あきこ先生の最後の単行本になります。刊行年確認したら2000年で、ちょっと白目になったことは内緒です。いやでも、20数年前の作品であっても面白いのでオススメです。

野村あきこ先生は、なかよしを中心に連載されていた少女漫画家です。初めて拝読した作品は、プライベート・アイズでした。この作品は間違いなく自分のオタクとしての性癖の根幹にあるので、そのうち気が向いたらこちらについても語りたいなと思います。野村あきこ先生については、有志の方がまとめられたWikiを参照いただければと思います。野村あきこ先生の作品は全部良いので、気になった作品を読んでいただけると嬉しいです。紙の本は難しいかもしれませんが、近年電子書籍でも販売されておりますので是非!
(野村あきこ先生→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E6%9D%91%E3%81%82%E3%81%8D%E3%81%93

倫敦館夜想曲は、主人公の寿 神奈(ことぶき かんな)とその弟である乙彦(おとひこ)が様々な事件に巻き込まれていく推理ものです。なお、神奈と乙彦は親の再婚で姉弟となったため血の繋がりはありません。

表紙
真ん中の女の子が神奈です。
後ろは表題作における中心人物、与謝野小路家の二人です。
裏表紙
こちらが乙彦です。

神奈はサバサバしてしっかり者(で若干ガサツ)で、観察力推理力もあり、今シリーズの探偵役です。神奈は裏表が激しいというか、猫被っているときと素の時のギャップ萌えがとても良きです。和装も洋装も似合う美女でもあります。黙っていれば綺麗で可愛い娘さんなんですよね、黙っていれば……。乙彦の扱いが若干雑なことが多々あります。やはり姉は強い。お年頃なので、縁談が来ることもしばしばありますが断りし続けていて、ご両親は頭を悩ませている様子も描かれています。

乙彦はお人好しでおっちょこちょい、素直で良い子、マジで良い子です。乙彦よ、何故君はそんなに純真で純朴なのだい。ちなみに、神奈と初めて会った時に一目惚れをしていて、度々周囲に誤解を招く発言をします。乙彦はほんとどこのカットも可愛いんですよ~。神奈に雑な扱いを受けても、へこたれない強い子でもあります。

なかよしとその姉妹雑誌『Amie』で発表された全四作からなるシリーズです。発表順は『倫敦館夜想曲』『白猫狂想曲』『剣姫鎮魂歌』『いばら姫の円舞曲』となります。私が初めて読んだのは、最後のいばら姫の円舞曲でした。この作品が、まさか野村あきこ先生の最後の作品になるとは思いませんでしたが……。

各エピソードのあらすじや登場人物についてはWikiに有志がまとめてくださっているので、ここでは省きますね。
(倫敦館夜想曲→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%AB%E6%95%A6%E9%A4%A8%E5%A4%9C%E6%83%B3%E6%9B%B2


この作品集のどこが好きなのかというと、まあ単純に話が全て良いんですよ。読みやすく、テンポがいい。ギャグとシリアスのバランスもいい。そして登場人物が魅力的。あと、全体的にビターな展開です。それぞれに抱えているものがあって、守りたいものがあって、しかしそれは許されずもしくは果たされず、そして……。詳しくは読んでください、マジで。読了後、すっきりはしない作品だとは思いますが……少女漫画お約束、恋愛要素もありますが……それはそれとして、推理物としてもとても良い作品なので読んでいただきたいです。

いばら姫の円舞曲を読んだときは、衝撃的でした。終盤で乙彦が神奈にかける言葉と、神奈が乙彦にかける言葉がね……切ないんですよね。二人の想い、信頼、絆が感じられると同時に……もしもがあったら、と考えてしまう。そして、最後のカットがまた切なさを増幅させるんですよ。本当に、野村あきこ先生は漫画がお上手なのです……。これが最後だったなんて……。

収録されている四作品ともに、起承転結がしっかりしていて、伏線の張り方も綺麗で、しっかりと着地しているんですよねえ。そしてそれぞれの犯人が守ろうとしたもの、守りたかったもの、守れなかったもの……すっきりしないところもありますが、それでも物語はきちんと収束しているのが素晴らしい。野村あきこ先生は、話の構成がとても上手いのです。少女漫画の推理ものなんて、と思わずに読んでほしいです。謎解きターンの神奈は可愛くてカッコよくて最高なのですよ。

大正ロマンが好きな人にも刺さる作品かなと思います。街並みとか建物の描写も綺麗なんですよね~。寿家とか、倫敦館夜想曲の与謝野小路家とか、白猫狂想曲の胡桃沢家とか、剣姫鎮魂歌の御剣神社とか、いばら姫の円舞曲の浅草オペラとか。特に胡桃沢家の内装は読んでいてとても楽しかったですね。どのカット見ても背景が良い! 野村あきこ先生は本当、絵も漫画も背景もお上手だなと思います。

神奈は基本的に和装、乙彦は洋装なのでそこのバランスもいいんですよね。神奈が洋装しているときもあります。これがまた可愛いのです。神奈は黙っていれば美人で可愛いのにな……そこが魅力でもあるのですけれども。

登場キャラクターで好きなのは、男性だと剣姫鎮魂歌の冬吾さん、白猫狂想曲といばら姫の円舞曲に登場の清水さんですかね。女の子は、白猫狂想曲の雪菜ちゃんが好きです。お猫様と美少女の組み合わせは大正義ですわよ。

少女漫画のカテゴリーには入りますが、非常に読みやすい推理もので一話完結なのでさくっと読めちゃいます。起承転結がしっかりしているし、伏線の張り方も上手いし、普段少女漫画読まない人にも薦めたい作品です。勿論、野村あきこ先生の他の作品も読んでほしいですが!

寡作な漫画家さんではありますが、どれも面白いのでお勧めです。特に、この倫敦館夜想曲は一巻でまとまっているので! 読みやすいですよ! ほんんと野村あきこ先生は、作品のテンポがいいので読みやすいんですよ~。

2000年の漫画で、絵柄が古いと思われるかもしれませんがめちゃくちゃ良い作品なので是非読んでいただきたいです。

年数が経っているので難しいかもしれませんが、野村あきこ先生のカラー絵好きなので……カラー収録版が紙の本で出たら嬉しいなあとも思っています。何とかなりませんか、K談社さん……。紙の本でもう一度出してくれませんかね、どうですかね。

各電子書籍でも配信しているので、良かったら読んでください! 下記はDMMブックスとAmazonのリンクです。

拙い紹介でしたが、興味を持って頂ければ幸いです。
野村あきこ先生のプライベート・アイズも良ければよろしくお願いします!

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