夜更けの珈琲は未完書房で vol.6
夜の間に間に〈1〉
大学の一部で広まっていた「彼」に関する噂は、都市伝説とか、七不思議とか、そういう類の話だと思っていた。どちらかといえば、私はそんな話を真に受けるタイプではなかったし、もしそれが事実なのだとしても、私には関わりのないことだった。彼と親しくするつもりはなかったから。けれど、もしかしたらその方針を変更しなければならないかもしれない。
「ミカー、新しく入った子、社文の一年だって。お前同じとこじゃねえ?」
サークル部屋として使われているプレハブ小屋は学食の