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▼本作は小説投稿サイト「ステキブンゲイ」でも公開しています。 創作大賞2022中間審査通過 …
0. プロローグ 記憶の中の母親 夜次元クジラが汽笛のような声で鳴いて空に昇っていった…
←0.プロローグはこちら 1. 金魚のいる教室 「そうですか。お父様はあの事故で」 森谷…
2. WIZMEE 「簡単な確認事項と、新学期からの流れをお話していきますね」 森谷は…
3. 四次元金魚 チャイムが鳴り、森谷が後ろを振り返って時計を確認した。 「もっと聞…
4.四次元のクジラ 波留の席は教室の廊下側の壁際、一番前。すぐそばに扉があって、正面に…
5.クジラとの対話 夜次元クジラの鳴き声が、波留の鼓膜を震わせた。 シンは海の中に立ち、ターコイズブルーの澄んだ海は遥か遠くまで続いているのに、教室の後ろの黒板の文字が見える。 「俺の好きなものは海とサーフィン。イタリさんの好きなものは?」 波留は呆然としたまま「僕?」と問い返した。ザブン、ザザンと耳に届く波の音が生徒たちのどよめきだと気づき、我に返ったとたん海は消え、シンは教室に立っていて、水のない中空をクジラが泳いでいた。教室中の視線が波留に集まっている
6. 金魚係 三年二組は先に終わったらしく、波留が通り過ぎざまに隣の教室を見ると数人…
7. スケッチブック 三年三組の教室を出て視聴覚室の前を通り過ぎると、廊下は左へ折れて…
8.思春期の男の子 アラームで目を覚ましたシンは、スマートフォンで時刻を確認すると慌…
9. 砂浜の二人 空には薄く雲が広がり、サーフボードを抱えて砂浜を歩きながら、シンは見…
10. 微睡の海 坂道を自転車で下って路地を抜けたシンは、しばらく線路沿いに走って海岸…
11. 四次元散歩 ひとり金魚部屋に残った波留は、金魚鉢の傍にある一番後ろの窓を開けて…
12. 去年の金魚係 ドアのガラス越しに波留と目が合うと、森谷は嬉しそうに教室に入ってきた。 「さっき校舎の下から人影が見えたんだ。シン君かと思ったら波留さんだった」 「シンは餌やったら帰りました」 「波留さんは帰らないの?」 「あ、えっと。もうちょっといてもいいですか? 家に帰っても人の出入りが多くて落ち着かないから」 まだ立ち上がる気力がなく波留が椅子に座ったままでいると、森谷は向かいの椅子を引いて腰を下ろした。出目金が方向転換して一生懸命森谷のそば