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70の手習い〜母のチャレンジ

76歳になった私の母が、今年2月に始めたこと。それはInstagram投稿である。

「何か新しいことやってみれば?例えばInstagramとかさ」

と軽い気持ちで母に言ってみた。

ひとり暮らしの母は、特にこれといった趣味もない。お稽古に通ったり、地域のコミュニティに参加するタイプでもない。

新たな出会いもなく、娘や孫と話すくらいである。このままでは刺激がなく、いささか心配である。

「ほら、70代の人でも投稿してるよ。」なんて色々SNSを見せて「お母さんはコツコツ続けるのが得意やから、ええんちゃうん」と話すと「そお?」と満更でもない。

実際に母は昔からルーティンの鬼で、家計簿でもスクワットでも、よく分からない顔面体操でも独自の発声練習でも、一度やると決めたら何年もやり続ける。だからどんどんルーティンが増えていって、なんだか忙しそうである。

時々自分のルールに縛られすぎて、どこかに出かけても「○時までに帰って〜しなければ!」と言い出すので、「今日くらい別にいいやん!」とたしなめなければならないほどだ。

そんな母なので、その日からせっせと慣れない手つきで写真を撮り、コメントを考えるようになった。

投稿内容は、食べたもの、お庭に咲いた花や、亡くなった父の作品などなど。たわいもない内容である。



今ひとつInstagramのシステムが分かっていないので、私に画像とコメントを毎日送ってくる。(投稿をアップするのは私の担当。)

だから毎日母からLINEが来る。私は特に返信しないし、母も淡々と送ってくるだけである。

それでもLINEを開けば、「今日もお母さん元気にやってるなあ」とか「おっ、お庭にこんな花が咲いたんだ」とか思う。

家にある父が残した作品たちも、改めてひとつひとつ写真で見ると、「あれ、こんな作品あったっけ?」と思う。
 
母の毎日は刺激がない、なんて思ってたけれど、季節を感じたり、想い出を振り返ったり、食べたいものを作ったり…そこには小さな出会いがたくさんあるんだ、と気付く。

今日で母のアカウントも100投稿となった。これからも元気に続けてもらいたい。

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