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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、…
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#小説

【連載】蜘蛛の手をつかむ-第1話

 立木陵介が菜緒と交わした最後の言葉は、「蜘蛛の巣、何とかしておいてね、陵ちゃん。お願い…

塩かげん
1か月前
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昼メシな総務課【第一話・サムギョプサル】

 会社の総務部総務課はいわゆる掃きだめのような部署だ。一線から退いたというと聞こえがいい…

塩かげん
3か月前
46

昼メシな総務課【第二話・餃子】

 前回アップした総務課動画はそれからも伸び続け、一週間も経った頃には二十三万回再生で落ち…

塩かげん
2か月前
17

【短編】隕石に、眠る

 不治の病って、ふじの病なのか、ふちの病なのか。どっちかなんて、まぁ今考えても仕方ない。…

塩かげん
2か月前
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【短編】ノート

 先に入ってて、と言われて居酒屋に一人で入るのはなんだか嫌な気分だ。もう三十三にもなるん…

塩かげん
3か月前
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【短編小説】となりのスニーカー

 俺のモノじゃない靴が玄関に一足。吉村はじっと靴を見た。俺のじゃない。なぜウチの玄関にあ…

塩かげん
3か月前
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【短編小説】ただ、恐ろしい

 池田優作の平日は職場と家の往復だ。自転車で通勤できるほどの距離だ。片道自転車で十五分、広々とした街路樹が並ぶ通りが気持ちいい。優作は昨日、職場からの帰宅時に事故にあった。車に後ろからはねられたのだった。  幸いにもケガ一つなかったが、念のため入院することとなった。接触した車の運転手は塾に送迎中の母親で、憔悴しきっていた。  不幸中の幸いの事故のように見えたが、優作は記憶がすっぽり抜け落ちていたのだ。事故前後の短期の記憶障害なのか、何十年もの過去に遡っての記憶障害なのか、

【短編小説】夢見る家族

 六月八日(木)、午前十時  田辺健一はスマホの着信音で目覚めた。会社からだった。そのま…

塩かげん
3か月前
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短編小説おまとめ版ベスト3

塩かげんってのは、私の屋号でして。本業はコピーライター&プランナー&編集者&WEBディレク…

塩かげん
3か月前
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【短編小説‐後編】おふくろの味を、もう一度

【前編はこちら】 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓  俺の生命線は基本的に給食だ。中学で給…

塩かげん
4か月前
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【短編小説‐前編】おふくろの味を、もう一度

 雨がやんだ、すっごく天気がいい。あれ、雨って天気の一部なんじゃないの?雨じゃない時に【…

塩かげん
4か月前
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【短編小説】私たちを地獄で裁くこと

 最終決戦だ、目の前には悪の帝王ゴルゴロスが。指先から波動、空から雷鳴が轟き、パーティー…

塩かげん
4か月前
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【短編小説】負け犬のふたり

 ぼくには友達がいない。友達の定義は広くて、登下校の友達、チーム分けのときの友達、お弁当…

塩かげん
4か月前
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【短編小説】喫煙所で、平和は遠いなとつぶやく

 有事の際は、迎撃ミサイルを陸上はもちろん海上、加えて空中からも発射する用意ができています。もちろん、核対策としても有効です。  街頭でもらったビラには、ふざけたことが書かれていた。 「ばかかっつーの。核が発射されたら、そりゃもう本気の殺し合いだろ。だったら、それ迎撃し損なったら終わりだぜ」  小早川はタバコに火をつけながら、ビラをくしゃくしゃと丸めて投げた。 「まぁ、万一さぁ、迎撃できたとして、反撃に核使ったらホントに終わりだよな」  本田は小早川のタバコから一本拝借し