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金を稼ぐことよりも、貯めることのほうが実は大事なスキルなんじゃないの?って話

商売というものは、「天才」ならば勝てるものかというとそうではありません。


私のもともと務めていた会社の先輩が「独立モドキ」をするということで、「資金力が無くて困ってるんだけど、金貸してくれないか!?」と言われ、1000万円貸すことになりました。(もちろん、リスクの高い貸付ですから金利も高めに設定し、現在勤めている会社を退職したら即返済という条件を付しています。)

その先輩は、とんでもない広範囲での顔の広さがあり、多くの不動産会社の社長とも交友関係を持っています。営業能力・人脈構築能力はかなり上位の能力をもっていると私は感じています。

しかし、私はその先輩が「独立モドキ」をして、最終的にコトがうまく進んで独立の道に歩めるとは1ミリも思っていません。なぜなら、その先輩が会社に勤めてもらっているお給料は1000万オーバー。しかも独身。それなのに、この10数年で貯めた貯蓄はほぼゼロなのです。よーするに、「貯蓄性向が皆無」の人間であるということです。

「金をおもいきり使う」。これはある意味で経済的勝者に許された特権です。資本主義社会の中では「金」をもつ人間こそが勝者であり、基本的にはすべてのモノは金で買うことができます。思い切りハメを外して女に、酒に、食べ物に、車に、趣味に金を使うことは、そりゃあなにより楽しいことです。そして、労働者にとっては、お金というものは使い切ってしまっても月末になればお給料として補填されます。

しかし、経営者になるならば、「金は全部使う」は絶対に悪手です。お金というのは商人にとってのライフポイントです、生命力です。なければ死にます。比喩表現でなく、本当の意味で金がなくなって「死」を選ぶ経営者の数も多い。そのお金を貯めることができないということは、会社は常に瀕死の状態になってしまうということです。そして、経営者にとってのお金というのは、月末になれば補填されるようなものでは決してない。「結果」を出し続けなければ、サイフの中にお金が補填されることはありえないのです。

「貯蓄性向」が1ミリもない経営者は、本当にズバ抜けた才能を持った、人類の中でもごく一部の人間でもなければ成功することはできません。


「営業の天才」だから、独立して、経営者になってもうまくいく。こうじゃあないんですね。

営業は平凡だけど、とにかく低い生活コストと低い会社運営コストで、売り上げはそこまでではないけれど、経費率がアホ程低く、会社にお金を残せる。その会社に残したお金をもともとのお金とあわせて会社運営をすることで、次の期は更にほんの少しだけ多くの利益を上げていく。これを数十年繰り返すと、気付いたら何億という資産ができ、そこから生まれる所得だけで暮らしていけるようになる。「生き残っている」会社の多くはこのような経営志向を持つ人間によって運営がなされています。

確かに、本当にごく一部のイケイケ経営者が爆発的な売り上げをあげて、会社を上場させてとてつもない多くの富を得る、なんていう事例もあります。しかし、それは数多の道半ばで死んでいった経営者たちの屍が敷き詰められた道を歩み切ってのことです。このようなやり方での成功率は本当に低い。1000人に1人もそんな人はいません。


「営業だけが天才」では生き残れる経営者にはなれません。

「勝つ」ためには、「稼げるようになっても生活コストをあげない」ってことを数十年継続し続けられたりする、凡人だけど、徹底した「自制心」をもっている。こういうことが一番大事だったりするんですよね。

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