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呼吸強化週間①上後鋸筋・下後鋸筋

呼吸強化週間の概要は前回述べた通りです。

第一弾は上後鋸筋・下後鋸筋です。

まず解剖をおさらいしましょう。

上後鋸筋
起始 C(4)5~Th1(2)までの棘突起と項靭帯
停止 肋骨角のすぐ外側の第2~第5肋骨上縁
・背部の頭方に位置する筋。筋腹の大部分が菱形筋に覆われる。
・筋腹は外側約1/2の領域に存在し、内側約1/2の領域は筋膜のみで構成される。
下降鋸筋
起始 胸腰腱膜を介してTh10~L2の棘突起
停止 第9~第12(10)肋骨の外側部下縁
・背部の尾方に位置する筋。広背筋に覆われる。
・筋腹はその全長の外側約1/2の領域に存在し、内側約1/2の領域は膜様の腱のみで構成される。この膜様の腱は、広背筋の起始腱である胸腰腱膜に移行するが、丁寧に剥離すると分離が可能である。

引用元:河上敬介ほか,改訂第2版骨格筋の形と触察法,p.47-p.50,大峰閣,2016年.

図

このように、上後鋸筋・下後鋸筋は起立筋を押さえつけるように付着しています。

起立筋との関係

①起立筋は肋骨角に着き、それ以上外方には広がりようがありません。
→起立筋が持続的に収縮すると、起立筋の筋内圧が上昇します。更に上下の後鋸筋で押さえつけられる状況が想定できる構造をしています。

②脊柱起立筋は全て背部において後鋸筋深部を通っています
→円背によって起立筋が伸張され、後鋸筋に押し付けられることで起立筋・後鋸筋間の滑走の不良、起立筋内部の血流低下の原因となることが考えられます。

起立筋の持続的収縮、筋内圧上昇はなぜ起こるか

起立筋の筋内圧は主に姿勢によってコントロールされていると考えます。
端的に円背であるか反らせるかの2パターンです。基本的に姿勢を変えるなどしてどちらも行っていることが多いと考えられます。
姿勢変化は生活の中では座位によって決まることが多いです。骨盤前傾で反らせた姿勢、後傾によって円背となります。円背のパターンは肘を突くか後ろにもたれるかで変化します。

肘を突く場合:顎を出して頚部前弯が強化される。
後ろにもたれる場合:顎を引いて頚部前面を収縮させている。

起立筋の持続的収縮・筋内圧上昇はなぜいけないか

前々項「起立筋との関係」にて、起立筋の持続的収縮・筋内圧上昇は、起立筋・後鋸筋間の滑走の不良、起立筋内部の血流低下が起こる原因となると述べました。

滑走不良・血流低下により、姿勢が固定されてしまうと想定できます。骨盤前傾で反らせた姿勢、または骨盤後傾によって円背姿勢という不良姿勢での固定となります。

問題点を呼吸機能に落とし込みましょう。

①起立筋・後鋸筋の滑走不良
・下位胸郭は広がることが出来るだろうか。
・肩甲骨は動くだろうか。猫背で固定されていた場合、上位肋骨は広がることが出来るだろうか。
・腰を反らせた姿勢の場合、腹圧が高くなると予想されるが、横隔膜は十分に下降できるだろうか。

②不良姿勢での固定
・運動や生活で気を付けるのみで改善できるだろうか

治療が必要。何をすべきか。

当院で行っている治療をまとめました。


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