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ヘンテコノミクス / 原作:佐藤雅彦+菅俊一 作画:高橋秀明

私は以前から人間の「行動」とか「認知」に興味があります。
大学院の研究も、人間の認知行動に着目した映像表現を題材にしていました。

当時は認知心理学など、人間の反射的な身体反応をメインに勉強していたのですが(今となってはその知識も消えてしまったのでまた勉強したい。。)最近はもっと人間の行動に着目した「行動経済学」というものに惹かれています。

その行動経済学に惹かれるきっかけになったのが
この『ヘンテコノミクス』という本。

行動経済学を題材として、さまざまな人間の行動原理を漫画で説明してくれている本です。
元は雑誌BRUTUSの連載だったものを書籍化したそう。

私がこの本を買うきっかけになったのは、私のnoteではお馴染み、佐藤雅彦さんが原作に携わっていらっしゃるから。元々この本の存在自体は知っていました。

で、実家近くの本屋さんの古本コーナーにふらっと立ち寄ったとき、あの何千もの本の中から、本当にたまたま目に飛び込んできたんです!驚きすぎて運命感じて(?)即購入。



これがまあとにかく面白い。そしてわかりやすい。
人間の”行動”の話なので、動きやストーリーを伝えやすい漫画との相性が非常に良い。

そもそも行動経済学とはなんぞや?という人に向けて
本の表紙の裏側(開いた時の右側のところ、なんていうの?)に行動経済学の説明が書いてあります。

行動経済学【behavioral economics】とは
今までの経済学は、「人間は必ず合理的な経済行動をするもの」
という前提で構築されてきました。
ところが普段のわたしたちは、それでは説明できない
非合理なふるまいを多くしています。
行動経済学とは、従来の経済学では説明しきれない人間の経済行動を
人間の心理という視点から解明しようとする新しい経済学です。

私はそもそも経済学部じゃないので、経済学自体もよくわからないのですが、、(経済学部の人は行動経済学もきっと学ぶのかな?)

特に前知識がない人でも全然楽しめます。というかむしろ素人向けにわかりやすくかつユーモアのある表現をしているので、純粋に短編漫画としても楽しめます。

ちょこっと中身を紹介。

すんごい陰っててすみません

こんな感じで短編漫画とその解説が23話分収録されています。

例えば第3話の『フレーミング効果』

A.死亡率20%の手術
B.成功率80%の手術

これら2つの情報は、同じ意味だけど言い方が変わるだけで異なる印象になる。実は同じということに気づかず、提示の仕方によって印象が変わってしまうことを行動経済学用語で”フレーミング効果”と言うそうです。
日常でいう「ものは言いよう」に近いのかな?

こんな感じの人間の経済行動・・・お金勘定とか損得勘定に関係する、一見難しそうに聞こえる用語を、漫画でわかりやすく、誰もが身近に感じられる表現をしてくれているのが、ヘンテコノミクスの魅力だと思います。(難しいことを簡単に説明する人は賢いってどこかで聞いたことある気がする)

なんかその話で言うと、教育ってこういうことだよなーって。(?)
勉強とか学問って初見で難しいとかめんどくさいとか感じがちだけど、楽しさはいくらでも見出せて、それを発見したら勝ちだと思うんです。
少なくともこの本はその楽しさを誰もが見出せる本だなあと思いました。

今のところ行動経済学の触りしか知りませんが、
知らず知らずのうちに非合理な行動をしてしまう人間という生き物がいて、そしてその心理を利用して資本主義が成り立っているんだと知りました。

そしてその中に横たわる”数字や論理だけでは証明できない人間らしさ”みたいなものが見えてすごく嬉しくなりました。



ということで、
行動経済学に興味がある人もない人も是非ぜひ読んでみてください。

将来子供に読ませたい本Top10に躍り出ました。
ちなみに1位は未定です。


(2023年6月 読了)

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