会社で腹膜透析をしたいなら

血液透析は週3回、4~5時間の拘束時間があるので、仕事を続けづらくなります。なので、仕事を続けたい人に腹膜透析を考えている人もいると思います。
腹膜透析は日に4回の透析液交換が必要なので、会社の昼休みにも透析液を交換する必要があります。人通りが少なく衛生的な場所が必要なので、勤め先にあった面談室を使いたいと思っていました。定期検診などの後に産業医や保健婦と従業員が面談する、小さい部屋です。昼休みなら空いているだろうと思った次第です。しかし、いきなり行って使うのはどうかと思うので、透析導入前から産業医に相談し始めました。

会社として腹膜透析の従業員は初めてらしく、即答は得られませんでした。会社側では人事の関連部署と相談して、いろいろと調べてくれて、

「医療的なサービスはできないけど、場所を使うだけならどうぞ」

という回答を得られたのです。産業医(医師)も看護師も保健婦もいるけど、何も手を出せないとのことでした。もちろん、必要な物すべて持ち込むつもりだったので、場所だけ借りられれば良かったのです。

で、どうなったかというと、その場所で透析液の交換は2回しかできませんでした。私が所属していた部門が別の拠点に移転したからです。さらに、移転と同じタイミングで早期退職したので、数ヶ月前から相談していたにもかかわらず、超短期の利用しかできませんでした。

もっと長期に利用することができたなら、透析液バッグを無菌接続するための装置(これが重い)を私費レンタルして会社に準備しようとも考えていたのですが、2回だけなので自宅の装置を会社に持参しました。

朝のうちにコンビニで昼に食べる調理パンなどを購入しておいて、昼休みになったら機材や消耗品などを持って面談室に向かいます。産業医か保健婦に挨拶して、面談室で写真用の三脚を立てます。点滴スタンドの代わりです。お腹のチューブと透析液バッグを接続し、まずは排液に25分くらい待ちます。その間にパンを頬張ります。排液が終わったら、三脚の高い位置から透析液を注液します。ここまでスムーズに進んでも、昼休みギリギリです。ささっと片付けて、職場に戻ります。

CAPDではなくAPD(夜間に自動的に透析液を交換してくれる腹膜透析)なら、昼休みの交換が不要なので社会生活は楽だったかもしれません。しかし犬を飼っているし、就寝時に自分を隔離できる環境が用意できないので断念しました。開始から終了まで8時間かかるのもネックです。

私は会社を離れましたが、会社にとって腹膜透析患者の扱い方を残せたと思っています。しかし、透析患者は健保の負担が大きいので、会社には歓迎されないと思いますけどね。

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