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漫画描いたよフィードバック

初めに

 最近趣味漫画を書いている。
 このnoteでは素人が稚拙ながら漫画を書いていく中で気づいたこと、元々「twnovelのセルフコミカライズ」という妙な形で始めたことから得た知見、そのフィードバックを行う。
 また、自己流話の作り方もまとめる。

発端

 無職になった。
 すぐに働く気になれずにいたので、お暇を楽しもうと思った。
 元々字書きなので今まで憎むべき労働というものに縛られて書けていなかった小説を書こう!と思った。小説垢を持っていたが、普段使いの趣味垢と比べてTwitterのフォロワー数はかなり少ない。
 twnovelという、Twitter140文字で書くSSを書いたが、反応は全くなかった。
 自創作で小説を読んでもらおうとなると、かなりハードルが高いというような気がする。自分に色々と足りないだけでは?
 少しでも小説を読んでもらえるきっかけに何かできないかな〜と悩み、字よりは絵の方が目にとめやすいか……と思い、せや!twnovelをセルフコミカライズしよう!となった。
イカれてんのか。

 現在pixivにて「蚊がヴァンパイアだったらギリ許せる話」はほぼ漫画だけで描いているが、元々はそういう発端である。

 ツイノベ→漫画

 twnovel(文字)から漫画という作業は、実はかなり、漫画を書くにあたってかなりいい、というか、私のような初心者はとてもいい工程だった。というのも、プロの原稿や工程を生で見たことはないが、プロットからネームに書き起こす作業と結構近しいのではないかと感じたからだ。
工程は以下
・文字→コマ割(ネーム)→下書き→清書、仕上げ

文字→(コマ割)ネーム

第一話
「もう九月だというのに、まだヴァンパイアが家に居座っている。夜中に血を吸ってくるので二郎系ラーメンを毎日食べる羽目になるし十字架が手放せない。かわりにチョコレートと薔薇を置いておくと、騙されたみたいな顔をする。いつまでいるのと聞くと、ハロウィンには出て行きます、といった。」

ちょうどよく一文(「。」まで)を1コマという形で書くことができた。ほとんど地の文なので、モノローグ多めの硬い書き起こしの形になった。
 コマに大体の構図を描き、下書きに写る。

ネーム

ネーム→下書き

 私はクリスタを未だ使っていない。iPadであるというのに。使っているのはアイビスペイントだ。


私自身かなり雑な人間なので、下書きもまたざっくり青線で書く。特に特筆すべきことはないかな……
この時点で以下をしておく。
 ・吹き出し
 ・文字入れ

死ぬほど進捗挙げるタイプの人間なのでよくこうコマをTwitterにあげてる


下書き→清書、仕上げ

 以下の作業を行う。
 ・清書
 ・色分け

ここはもう仕上げ作業なのでひたすら描く、塗る。それだけ。下書きから微調整はする。
 1ツイート分で1ページという感じの収まりの良さだったので、ここから10P分、同じことをした。
 よくもまあ描いたな……。

1話目。今見るとやっぱ拙い。今もだが?


この10ツイート分と同じ内容をtwnovelから膨らませて、カクヨムでも1話1000字〜1500字で書いたが、流石にコミカライズとノベライズを同時にやり続けるのはきついので、「蚊がヴァンパイアだったらギリ許せる話」は漫画のみとなった。

カクヨム小説版はこっち


漫画の工程

 twnovelではなくなったものの、今も工程は文字プロット→ネーム→下書き→清書→仕上げなので、あまり変わっていない。

  • プロット

 プロットでは、1Pの中の大体の展開を書きながら、全体でおおよそのページ感を掴む。
 都度書き方が変わるのでなんとも言えん。

  • ネーム

 最近はコンセプトというアプリを使い、ネームを書いている。無限のノートみたいで使いやすい。

こんな感じにわーっと書けるのでいいですね。拡大縮小もできる。


  • 下書き

 ここもtwnovelの時と変わらずに、下書きの時に吹き出しとセリフを入れている。
 表情とか見せたいところはしっかり書き込んでおく。清書で困りたくないから。

  • 清書

 線画を描く!ひたすらに。ほぼ無心。表情とか微調整かけてく。

  • 仕上げ

 最近効果トーンとか入れたり、投げ縄塗りで多少楽ができるようになった。
 アイビスで描いてるだけなので、戻るが使えるだけのほぼアナログに近しい気がしている。

まとめ

 漫画はこのサイクルを作ってしまえば多分楽なのである。まず私はプロットをまとめるというのが一番、面倒なのだ。でももっと面倒なのがネーム→下書きの作業である。ネームまではざっくり書けるが、その後下書きで構図を考えたりセリフを整えて行ったりするのがこう、脳の処理と追いついていない感じがすごくてつらい。
 でも台詞だけ書き出すとそこで満足してしまうので、(その話を読みたいという自分の欲求はそこで叶うから)やっぱり下書きと同時並行で書き出すのが一番自分には良さそうだ。

10ツイ分の漫画はこちら↓


話の作り方

 自己流話の作り方、というか、ここはさらに覚書という感じなのであまり整理をしていない。(ダメやん)
・twnovelの構成
 ・プロットの作り方
 ・まとめ

twnovelの構成

 「蚊がヴァンパイアだったらギリ許せる話」は、名前の通りである。「九月まで家に居座る蚊が、もしヴァンパイアだったらギリギリ許せるんじゃないか」というアイディアからはじまった。

 起承転結、三幕構成、セーブザキャットのビートシート……などなど、プロットの組み方はたくさんある。
 構成は上記をざっくり混ぜた形で組んだと思う。メロスはプロットがわからぬ。

セーブザキャット

 twnovelでは、10ツイートで1話を完結させた。
 起承転結といっても、全部均等にシーンを分けなければいけないわけではない。
 10ツイート内で起承転結を組み込み、ミッドポイントのみを使用して構成した。話数で言うなら「起承承承承ミ承承転結」だろうか。
 1編目の話は「ヴァンパイアが住み着き、いなくなり、また戻ってくるまで」という流れだ。
 1ツイート目を書いた時にはそうしようと思っていたわけではなかったが、「住み着いたからには出て行くか、住み着き続けるかだ」という着地点は書くうちに見えた。

 話は始まったら、終わるのだ。オチらしいオチはない、というように思えるものも、確実に終わっている。終わってるんだよ!!!!!!!! 「オチなし」って言えば「終わり」ってわかるしね。オチはなくても終わりはある。

 話に終わりをつけるためには「変化」が必要だったりする。別に大きくなくてもいい。
 疑問が解消される、どこかに行ったら帰ってくる。喧嘩して、仲直りする。特に変哲もない日常だが、暗かった心情に僅かながら、光が差し込む。変化は別に大きくなくていい。大きくたっていいが。

 1P目では、「居座ったヴァンパイアは出て行くのか?」→「出ていかない」という回答(終わり)になる。考えてみれば、全Pの構成は1Pめのオチのリフレインでもある。
 ただ変化はある。主人公の心情だ。
 最初は「出て行って欲しい」という気持ちだが、最終的には自分から帰ってきたヴァンパイアを招き入れ、「いてもいい」という心情になっている。

 この最初の編では、「ヴァンパイアが居座る→帰ってこない→帰ってくる→また住み着く」流れの中で、心情も変化をする。

 主人公の「出て行って欲しい→仲良くなってきた→いなくなって寂しい→いてもいい」という変化、ヴァンパイアたちの「図々しいヴァンパイア→主人公に懐く→懐いたからこそ不安になる(遠慮を覚える)→受け入れられてさらに懐く」という感じだ。

 変化というものは一つでなく、出来事によって複数変動するのである。それがうまいこと噛み合うといい感じに収まった感じがする。
 なお、流れをオリジナルで考えなくてもいいと思っている。上記の流れはおおよそ使い古されているものだとも思う。それでも、「見たことあるな」になるくらいだと思う。もちろん設定だとかをまんまパクリというのはダメだが、どんなパターンにもストーリーが当てはまらないというのは、あんまり見ない。ので、たくさんストーリーのパターンを見て集めた方がいい。(これは戒め)

プロットの作り方

 あくまでも、自己流の緩めの話の作り方なので、必ず面白くなる作りではない。だが、個人的には「話としてまとまるかな?????」と思っている。随時変遷するので、今書いているものについてはこう、というものだ。
 私はプロットを作るのは本当に苦手というか、やっぱりテーマを考えるのがめちゃくちゃ苦手なのである。作者のメッセージ性だとか堅苦しいこと考えると何にもできなくなるので、とにかく蚊ヴァンは楽しんで描けるものにしよう、と思い、メッセージよりもキャラクターを立たせる、キャラクターの反応(ツッコミ、ボケ)で進むものにした。なのでテーマとか難しいことは書かない。

  • アイディア

 最近、まずアイディアがないとどうにもならんな……ということを痛感している。
 箱があっても、入れるものがなければその箱はずっと空のままだからだ。
 アイディアは、「一言で言えるストーリー」「やりたい(書きたい)シーン」「オチ」くらいあるといいかもしれない。まじでなんでもいい。24時間以内に世界を救うでも、汁なし坦々麺が恋をするでも。キャラクターとか、世界観とか。本当になんでもいいと思うんだ。「こうでなければならない」って凝ると、ガチガチに動けなくなるから。私が。

  • アイディアを膨らませる

 アイディアの中で、すでにキャラクターが確立されているのなら、誰がどう動くのか、書きたいシーンはプロットのどこに当たるのか、話の中で変化はあるか、何が始まり、終わるのか……など。色々考えてみる。
 世界観ならば、世界観を、シーンならなぜそう至ったのか……など。色々とメモをしておく。

  • プロットを組む

 よし、出したアイディアでプロットを組むぞ。でもこれは正直参考にしなくていい。本当に上手い人の話聞いた方がいいと思う。
 書きたいものの長さにもよるし。がっと長編を書きたいのか、短編を書きたいのか、連作にしたいのか……とかで。自分の書きたい話のパターンが同じものを参考にするといいと思う。

 蚊ヴァンの漫画は単話でもまあ読めるか?みたいな連作なので、単話単話で話を作っている。
 こち亀とかスケダンとか、キャラが継続され、その話で完結する話、というような構成をぼんやり思い浮かべて描いている。

 全体のページ数によっても分配は変わると思うが、起承転結で言うところ「承」が一番ページ数が多くなる。転を盛り上げるためだ。
  「シナリオの基礎技術」では、転にテーマが表れるということだ。


  • 書きたいシーンの配置

 書きたいシーンが前半、後半、どちらに属するのか、ということは結構重要である。
 なぜなら話は「変化して終わる」のだから、起きたこと、状況、感情は、後半では丸切り変わっているかもしれない、ということである。
 もちろん構成によっては、オチが初めにあり遡っていく、時系列がバラバラなものもあるだろから、一概には言えない。
 せっかくなので、その状況が一番美味しいところに置きたいところだ。例えば、「廃墟の教会で2人だけの結婚式を挙げる」なんかあったとする。どこに置きたいだろうか?
 最初に出してしまおう、と思う人もいるし、いや、クライマックスまで取っておこうという人もいるし、これこそミッドポイントだ、という人もいるだろうし、メインにそんなのは置かない、よそでやってろという人もいるだろう。
 なお一番困るのは、「どこに置いてもおいしいなあ」という雑食系(自分)である。

 書きたいシーンが前半ならば、それが設定、前提条件(起)となり、承に置きたいのならそのシーンはある意味一番楽しいところだ。ミッドポイントにあるのなら、そこをきっかけに何もかもが変わってくる。後半、転にあるのならば、そこまでの過程を大切に考えよう。結にあるのなら、その結末に向かうほかない出来事や変化を考える。
 私は無意識的に転かその前に置くことが多いとは思う。書きたかったものが全く活かせない時もあるので、ピンキリである。

  • ミッドポイントを作る

ミッドポイントは話の前半と後半の中間地点である。が、私はいまだにこれが苦手で、ビートシートでいうミッドポイント、迫り来る〜と全てを失ってがめちゃくちゃ近い。後半が絞り出されるように流れてしまうのがちょっと悪い癖だなと思うのでここを直したいという自省。
 前半と後半を繋ぎ、転、それから結へと向かうために必要な地点である。  
 twnovelでのミッドポイントは、「ヴァンパイアたちが外出しているときに、静かであることに寂しさ、物足りなさを感じる」というところだろうか。本当に出て行ったわけじゃないけど…みたいな予感から本当に帰ってこなくなる、みたいな。感情の変化点、話の変化点。

  • オチをつける

 オチ、というか「終わり」を考える。どこでこの話は区切りがよく、終わった、と思えるだろう。終わる際には、大抵変化が起きている。

  桃太郎が鬼退治に行く→桃太郎が鬼を倒して帰ってくる
  不幸で可哀想なシンデレラ→ 王子と結婚して幸せになったシンデレラ

というように。

劇的なものでなくても、現状に変化は起きなかったが、心情に変化が起きて、世界はちょっと良くなっている、という感じも多い。

蚊ヴァンで描いた話だと、「ピンとくる編」では主人公優が思い出せないことがあり、それが天使の天啓によって今日が締め切りのサークルの集金だったとわかり、ギリギリ難を逃れるという話だ。
思い出せない→思い出すという変化で終わった、という感じである。

ピンとくる編 オチ

 こういう小さな変化でも十分にオチは作ることができる。「始まったら、終わる」。
 時間、物理、心情、状況……などなど。
 漫画なら、話を進めつつ、ビジュアルで別のことが変化しているのも見せつことができる。例えば、何かが落ちた窓の下を見るまでの間にキャラクターは思案しながら身なりを整える、など、そういうビジュアルの変化などをさりげなくページでさせることもできる。
 「変化をさせて、終わらせる」という実験をするのはなかなか楽しいのではないだろうか。


  • 「始まり、終わる」の間を展開させる

 西洋の童話はプロットがかなり明確だ。

不幸で可哀想なシンデレラ→意地悪な継母たちのせいで舞踏会にいけない→魔法にかけられ舞踏会に行く→靴を落とす→元に戻る→王子がガラスの靴を手がかりに探す→王子と結婚して幸せになったシンデレラ

 このプロッだけでも、十分に展開が見て取れる。「全体の変化」「前半の変化」「ミッドポイント」「後半の変化」がされている。全体の変化の中でも、前半、後半と変化の過程があるのだ。

 全体の変化は、不幸で可哀想なシンデレラ→ 王子と結婚して幸せになったシンデレラ
 前半の変化は、舞踏会に行けない→舞踏会に行く
 ミッドポイントは「靴を落とす」
 後半は、元に戻る(不幸な状態に戻る)→王子と結婚して幸せになる

 という感じである。(「ガラスの靴を手がかりに探す」は、「終わり」に向かう変化の決定的なきっかけっぽい感じ)

 蚊ヴァンの短い話でまとめるならば、「帰れ!悪魔編」がいちばんいい気がする

全体の変化
 優留守中、悪魔が家に侵入する→優が帰ってきて、悪魔が追い出される

 全体プロットの変化の詳細
 優留守中、悪魔が家に侵入する→悪魔は居座ろうとする→ヴァンパイアは悪魔に嫌悪する→悪魔を追い出そうとする→優が帰ってくる→ビンタ→悪魔が追い出される

前半の変化
 ヴァンパイアは悪魔は居座ろうとする→ヴァンパイアは悪魔に嫌悪。
ミッドポイント
 ヴァンパイアは悪魔を追い出そうとする

後半の変化
 優のビンタ→居座っていた悪魔が追い出される

 後半変化のきっかけは、「優が帰ってくる」

というようなもの。

この勢い好き(熱い自画自賛)

 この変化の詳細は長編や連作になればなるほど細かくなる。多分それこそビートシートで管理するなりハコ書きとかすべきなんだろう。長編を1本書くのならやはりビートシートの方が良かったし、逆に短編はあまり、ガチガチな構成よりは緩めにポイントを作る方が良かったりする。なので、話の作り方は自分に合うものを見つけるしかないのである。

まとめ

 ・アイディアを膨らませる
 ・話は「始まって終わる」「変化する」
 ・書きたいシーンの配置
 ・ミッドポイントを作る
 ・オチをつける
 ・「始まり、終わる」の間を展開させる
    全体の変化
    └全体プロットの変化の詳細
     └前半の変化
     └ミッドポイント
     └決定的なきっかけ(ターニングポイント)
     └後半の変化

 現在蚊ヴァン(「蚊がヴァンパイアだったらギリ許せる話」の略)は15編くらい書いてTwitterやpixivで公開している。キャラクターが増えてくると、こういう話を作りたいなと思うようになり、さらにキャラが増えるスパイラルになっている。これがまた楽しい。今後課題として、今いるキャラの深掘り、固定キャラクターでの話の作りを考えるところだろうか。ファーストインパクトばかりの話になりがちだから…

以上が話の作り方とする。またいずれ自分用に虎の巻として詰め直そうかと思う。

総括

 元々小説を読んでもらいたい、というような気持ちで始めていたが、セルフコミカライズというものを通してかなり創作表現の幅や過程、知見が広がった。漫画は、絵も文もあり、小説とも映画とも違うテンポ感があり、そしてその全てで見せるストーリーがある。常日頃楽しんでいる、たくさんの漫画の作業過程を少し思うことができた。
 また、小説でも気づいたことがある。twnovelから漫画にする過程で、一文が塊、というのを改めて理解した。コマ割一つに対する情報量、
 たまに蚊ヴァンのキャラでSSを書くことをしているのだが、キャラクターを文字の上で動かすことができて楽しい。私の小説は人物がかたいと感じているので、キャラクター小説を書くということの習作ともなっている。
 色々な創作の過程を知ることで、新たに自分の創作活動にフィードバックができるかもしれない。
 逆に漫画をノベライズすると、また創作に活かせるかもと考えた。それもやってみようかなと画策している。やるんだろうか……?やってみたいなとは思うが、かなり根気がいる気がする……。

 以上、漫画を書いたフィードバックとする。

描いた漫画〜現在まとめてあるぶんが読めるのはこちら↓

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