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半径5kmくらいの生活

日本では、20年以上間実家にすんでいた。東京ではない。
大学、バイト先、前職の職場、前の彼氏の家はどこもは東京だったけど、実家から通える範囲(とはいっても1時間半くらいかかる)だったので、毎日その時の活動の場所へ移動する生活をしていた。日常的に、私の行動範囲は半径40kmくらいあった。

今、ベトナムに来て、生活の範囲が半径5kmくらいに縮んだ。自分の活動する範囲を広げたいと思っていたけど、実際には8分の1くらいになった。職種も変わったから、会う人の分子は圧倒的に増えたけど、分母は半径5kmにいる1万人にも満たない日本人だ。

ここに来る前はずっと、「海外で働きたい」と思っていたけど、今はどこで働いても大差はないんじゃないかな、と思っている。どこの国にも大抵日系企業は進出していて、そこで働いている人は(ほとんどの場合は)やっぱり日本人らしい日本人だ。駐在員として海外に来る人はその国と日本の本社の間にあって、ベトナムだったらローカルスタッフ10人分くらいの給料をもらって仕事をするわけだから「日本の働き方」がちゃんとできる、しかもプラスαの仕事へのモチベーションとかコミュ二ケーション能力を持っている人が選ばれてきている、と思う。そういう人たちがたくさん集まってできている、海外の日本人コミュニティは小さくて濃厚な日本だった。

そのコミュニティが嫌だ?確かに、こんなところまで来て何してるんだろうという気持ちもあるけど、日本人は日本人に優しいのだ。1億2600万人中の1万人以下、0.0001%以下の確率で、大抵3年くらいで日本に帰っていったり別の国にいったりする人が大半をしめる中で、同じタイミングでハノイに住んでいる同じ国出身の人。お互いに助け合っていこうという気持ちがあって、やっぱり助けられることもたくさんあるのが、事実だ。

"海外で働きたい"と考えているひとは、"海外で働いて何をしたいか"を考えた方が、きっとギャップがなくなる。私だったら"海外で働きたい"は根本の目的じゃなくて、"日本以外で生活したい・その国のカルチャーを知りたい"、"日本人以外と働きたい、働くことへの価値観を知りたい"、という思いが最初にあった。1個目の目的は、確かに日本じゃ達成できないこと。でも2個目の目的は、日本でも達成できる。

海外にでたら世界が広がると思ってた。
でも、そうじゃなかった。拠点がベトナムに移って、私は半径5kmくらいの範囲で生活をしている。多分これはどこの国にいってもおんなじこと何じゃないかな、と思う。もちろん距離だけじゃなくて、大事なのはその中の多様性。でも、ひとつわかったことは、どこで生活するかは自分で選べるということ。だれと関わるかも、自分で選べるということ。今だって、日本人と関わらないようにしようと思えばできないことはないはず、今の仕事柄それはできないけど、だったら違う仕事をすればいい。VISAとかいろんな問題もあるけど、日本のパスポートを持っている限り3ヶ月くらいなら住むだけなら大抵どこでも住める。なんなら、東京に住んでいたって、日本人以外の人もたっくさん住んでいるんだから、どんな人と関わってどんな生活をするかは自分次第だ。という、当たり前なことがわかった。

私の今の目的は"海外で働く"ことじゃない。"住む場所を見つける"ことだ。もう少しで26歳になる。生活は、人生は、自分が責任を持って編集していくもの。Netflixでエヴァをみたからか、最近はずっとそんなことを考えている。


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