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カワイイだけでなく、カッコいい…! 『上野リチ ウィーンからきた デザイン・ファンタジー展』

クラシカルな煉瓦造りの建物が、タイムスリップしたかのような気分にさせてくれる、丸の内の一角にある三菱一号館美術館。先週、『上野リチ ウィーンからきた デザイン・ファンタジー展』を鑑賞してきました。

1920年台にヨーロッパから日本へ。
海を渡ったデザイナー、上野リチ

デザイナーやアーティストについては、そこそこ知っている方かと思うのですが、上野リチについては今回初めて知りました。「リチ」という名前だけ見ると、日本人のようですが…

上野リチの結婚前の正式な名前はフェリーツェ・リックス (Felice Rix)で、「リチ(Lizzi) 」は愛称です。

『上野リチ ウィーンからきた デザイン・ファンタジー展』(展覧会図録)、池田裕子、阿佐美淑子、宮川智美編集(京都国立近代美術館/三菱一号館美術館) 、2002年(第2版)、8頁。


そう、リチは結婚して「上野」姓になっているのです。

今回の企画展名や展覧会のキャッチコピーにもあるとおり、上野リチはウィーン生まれ。

ウィーン生まれのカワイイです。

『上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展』WEBサイト(https://mimt.jp/lizzi/
)より

なぜ日本へ移住し、どのような活動をしていたかについては、次の説明が端的に表しています。

リチは京都出身の建築家・上野伊三郎と出会って結婚、二つの都市を往復しながら、ウィーン工房所属デザイナーとして活動を続けます。1930年の工房退職後も、テキスタイルだけでなく、身の回りの小物類など、さまざまなデザインに携わりました。個人住宅や店舗などのインテリアデザインに加え、第二次世界大戦後には教育者として後進の指導にもあたっています。

『上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展』WEBサイト(https://mimt.jp/lizzi/)より

2022年の世の中では、海外移住のハードルはだいぶ下がっていますが、1920年代に遠い日本へ移住しようと決意し、さらにはウィーンと京都の間を行き来してデザイナーとしてのキャリアを積んでいった上野リチ。当時はまだヨーロッパでも美術の勉強ができる教育機関の多くが女性に門戸を閉じていた中、女性の入学が認められていた機関にて教育を受け、研鑽を積んでいます。

上野リチさん、カッコいい!!

上野リチの人生を辿るなかで、わたしが「ステキだなぁ〜」と感じた点は次の3点。

■自らに与えられている機会を、最大限に生かしている
もちろん、男女平等に機会が提供されているのが理想ですが、そうでないことに不平不満を言うのではなく、自らに開かれている機会をしっかりと生かし、着実に実力をつけ、実績を積んでいる点。

■ 環境の変化にも前向きに、自分のルーツは大切に
海外移住先の日本でも仕事をバリバリ続けていた上野リチさん。日本の影響は受けつつも、作風が和に傾倒することなく、自身のウィーン生まれの感性を大切にしている印象でした。
わたしたちも環境の変化を経験することってありますよね。そんな中でも、不安になるよりも前向きに。そして、新しい環境にアジャストしつつも、自身が大切にしたいことはしっかり守ることができたらいいなぁ〜と思いました。

■ 時代の流れも柔らかに乗りこなす
特に戦時中は、困難な状況にも多々直面していたと思われますが、その時々にできることを継続していた上野リチ。好きなことは、どのような状況にあっても続ける柔軟さを持ちたいものです。

どの作品もモチーフの描き方や色づかいが個性的ながらもセンスが良く、やさしく、見ていてとても明るい気分になれました。「これ、同じ人が描いたの?」と驚くような作風の幅も見ていて愉しかったです。同時に、創作意欲も沸きました。
展示会場内の撮影は禁止でしたが、その分、1つひとつの作品とじっくり向き合うことができてとても良かったです。

ミュージアムグッズもトキメキがたっぷり

今回は、ポストカード数枚と一筆箋、マグネットとマステを購入しました。

美術館へ行ったら楽しみなのが、ミュージアムショップを覗くこと!とはいえ、毎回グッズを買っていたらモノがあふれてしまうため、いつもはポストカードと良いデザインがあればクリアファイルを購入するくらいで留めておきます。

しかし、今回の上野リチ展では紙モノのグッズがとてもステキだったので、大人買いしてしまいました…!「ベビーもいるし、美術館めぐりも厳選して、たまにしか行けないし〜」と自分に言い訳しつつ。

一筆箋は、1枚1枚バラバラな短冊が帯でまとめられているスタイル

ほぼ日手帳は、見開きを上野リチで構成してみました。とっても華やか〜!

図録も購入し、家でもじっくりと作品を眺めています。

5/15(日)までなので、あと3日のみですが… 本当にステキな作品だらけなので、テキスタイルデザインやかわいいモチーフ好きの方には、足を運ぶことをオススメしたい企画展です!


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