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春の道草

道草の中でも特に好きなのが“たんぽぽ”。
花に鼻をくっつけて思い切り匂いを吸い込む。
春の草原をぎゅっと凝縮したようなあの香り、たまらない。

地割れ部分にあったたんぽぽ

こう見えて(何も見えない)、
子どもの頃の趣味は花摘みだった。
あの頃はまだ花粉症でもなかったからこの季節が大好きだった。

よく道の草で花束を作った。
ガーベラとか薔薇の代わりがたんぽぽ、かすみ草の代わりにナズナ、グリーン類をシダで代用するなどしていた。

花摘みを通して学んだことも多々ある。
オオイヌノフグリは綺麗だけど摘むと花がポロッと落ちてしまうから生えたままにしておくとか、ハナニラやムスカリみたいな大量に生えてはいるけど推定誰かが植えて育てているものは絶対に摘んではいけないとか。
ホトケノザは仏様が座る台座に似た形だからそういう名前になったということも知った。

あとお気に入りだったのがすみれだ。
庭に生えていたのを摘んで空瓶に挿しておいたらいつの間にか風力発電機みたいな形になり、プロペラ部分に大量の種ができた。
ある夜、ご飯を食べていたらすみれを置いたあたりで「パチパチ」「パラパラ」と音がする。
見に行ったら種が吹っ飛んでいた。
これには驚いたし、おもしろくてすごく笑った記憶がある。
そこら中がすみれの種だらけになったが、それでも一緒に笑ってくれた母の寛大さに感謝しかない。
そしてすみれという植物を図鑑で調べると
花を咲かせずとも種を作れること(夏)、
すみれは種を吹っ飛ばすのみならず、蟻に運ばせるべく蟻魅了成分(エライオソームという器官から出す香り)を種に纏わせているだとか
フランスでは香料として重宝されているだとかいうことがわかった。
図鑑や辞書が好きになったのはこういう経験が大きな要因。

ただ、大人に近づくにつれそして大人になり子どもの頃のように道草に触れる機会も減った。
下手に花を摘んで不審者だと思われて通報されても警察の仕事を増やしてしまうし、
単に変なのがいると近所の人を怖がらせてもいけないし。

だからこそムスメが腹の中に登場した時、
「子どもいたら合法的に花が摘めるぞ」
としょうもないことで喜んだ。
…勿論花摘めるからだけではないけど。

で、ムスメが生まれてから嬉々として花摘みをしている私である。
つい、草について語ってしまうのだが基本的にムスメは聞いていない。
摘みながら語っていたらムスメが消えていてブランコを漕いでいたりする。
結局一人喋りしながら草摘んでる変な人になってしまう私であった。

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