見出し画像

中学生じゃないけどゴミ出しボランティアっぽいことしたら意外な返事が返ってきた

ここしばらく実家で一人過ごしつつ遺品整理をしているのだが、ゴミが意外と出る。そのゴミを捨てに行った時の話。

実家マンションの敷地内にゴミ集積所があり、出入り口に鍵はかかっていないが、重い引き戸なので開けるのに意外と力がいる。その入り口の数メートル手前に一人の高齢女性が立っていた。片手に杖、片手にゴミ袋を持っていた。ゴミを捨てたいけど、一人で扉開けるの大変で困ってるのかな…?と思い、自分が先に行き、扉を全開にして中に入った。開いていればその女性も入れるだろうし、入ってくるだろうと思った。

ところが、のんびりゴミを分別していたにも関わらず、その女性は一向に入ってこなかった。それどころか一歩も動いていなかった。もしかしたら同時に集積所に入るのをためらったのかもしれない。私なら一切気にしないけど、扉開いたぞラッキー!って思ったと思われるのが嫌だったのかもしれない。それなら私が出れば入るだろうし、扉開けておけば…いや、でも閉められるかな?大丈夫かな?などと色んな考えが頭をよぎった。

とはいえただのゴミ捨て、ゴミ袋を指定場所に置くだけである。私がやるべきことはすぐに終わった。出入り口に戻りつつ、女性が動き始めてくれれば…と期待したが、先ほどの位置にやっぱりそのまま立っていた。「扉開けておいてください。」とか言うかも?とも思ったけど、何か言いたそうな素振りもない。だが、このまま見て見ぬふりして立ち去ったら私がモヤモヤする。ならばと思い、声をかけた。

「あの、そのゴミ捨てるんですよね?代わりに捨てましょうか?」

えっ?という顔を一瞬した後、ゴミ袋を差し出してきた。袋を預かり、指定場所へ運んだ。これくらいのことなら私が入ろうとした時に声かけてくれてもよかったのに!あーでも、これでスッキリした。扉閉めて帰ろー!と思ったところでこう言われた。

「ありがとうございます。私も頑張ってるんですけどね…」

えっ?と思った。正直戸惑った。ありがとうは分かるけど、その後が気になった。気にはなったがひとまず「いえいえ、お互い様ですから…」と返し、家に戻るべく階段へと向かった。その女性はエレベーターのある方へと歩き始めた。大変そうだから声をかけただけで別に変な意味はなかったんだけど、無視した方がよかったのかな?でも、それじゃあ私がスッキリしないしな…などと、階段を上りつつ、家に着くまで考えた。

家に戻り、母の遺影を見てふと思い出した。母も他人に手伝ってもらうのをあまりよしとしていなかったな、と。例えば、PC関連に疎い母に一から説明するよりも、私が作業してしまった方が断然早い。会社でも上司に頼まれたらそうしているし、母にも…と思うのだが、毎回「ちゃんと一緒にやろう!」と言って私が勝手に済ますのを嫌がっていた。指に絆創膏をつけるのも一人じゃやりにくいのに、「やろうか?」と言っても絶対に「やって!」とは言わなかった。イライラしながら一人で貼ろうとする母を見るたびに、普段は一人暮らしで全部やってるのだから、娘がいる時くらい頼んじゃえばいいのに…と何度も思った。

自分ひとりじゃ大変なことも、頼んだ方が楽なことも本人はよく分かっているのだろう。でも、それを認めるのが嫌だったのかもしれない。自分一人でできると思いたかったし、頑張りたかったのかもしれない。先ほどの女性も、大したゴミの量ではないが、大きなゴミ袋に入れていた。片手で持てる量をまとめて、袋をしばって、指定場所に捨てに行く。それをすべて一人でやりたかったのかもしれない。

そういえば、中学生のゴミ出しボランティア(高齢者宅のゴミを収集日に通学途中の中学生が集積所まで運ぶ)に賛否両論あるらしい。X上で「中学生に働かせるな!」等の異論が出ているのだとか。中学生が自主的にやろうと思えるならやればいいと思うが、捨ててもらう側もホイホイ頼んでるわけじゃないんだろうなとふと思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?