まつげ

「元気がない時、まつげを丁寧にあげるんですよ。ビューラーを根本からグイッと食い込ませて。目頭側とかね、ちゃんとやらないと上がらないんですよ。知っていましたか?そして、マスカラをたっぷりつけるんです。でもね、毛先はスーッと伸ばすだけ。じゃないと、まつげがまっすぐ空を向かないんです。まつげをピンと上げるとね、ちょっと元気になるんです。頑張ろうって、テンション上がるんです。ちょっとだけど。」

元気が無い日に、ふと口にした話題だった。元気の無さとは裏腹に、口はどんどん動いた。多分、同意を得られないだろうって不安だったからだと思う。

「そうなんだ。いいね、素敵じゃん。」

たったこれっぽっちの言葉が返ってきた。これっぽっちだけど、これ以外いらないな。貴方に焦がれる理由は、これっぽっちのお返事で充分だ。

うん、とはにかんで答えてみた。ちゃんとはにかめていただろうか。なんだか目を合わせるのが恥ずかしくて、ちょっと下を向いてしまった。実は今日、まつげ失敗しちゃったんだよなぁ。



最近嬉しかったことです。明日もまつげを上げていきましょう。



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