シェフィールド日誌(4) 8/6 2日目 後編

Meadowhall(メドーオール)

 礼拝後、昨晩寮のレセプションで紹介されたショッピングモールに行くことにした。フードコートとかもあるらしく、昼食もそこで食べることにした。個人的には、ショッピングというよりも、少しでもイギリスの街の雰囲気的なものに触れたかったので、人が集まるショッピングモールは行き先として魅力的だった。
 MeadowhallなるショッピングモールはSheffieldの郊外にあって、市街中心部(例えばCathedralの前)からトラム(路面電車)で20分強でアクセスできる。日本でいうイオンみたいなところ。

昼食

 Meadowhallの中のレストラン街の一角にあったイタリア料理の店「Zizzi」で昼食。イギリス料理の店があれば迷わず入ったと思うのだが、見当たらなかった…
 4人いたので4品頼んでシェアすることにした。ペパロニピザ、サーモンのリゾット、ボロネーゼスパゲッティ、チキンプロシュートサラダを注文。味は言うまでもなく美味しかった。特にリゾットはチーズやらオリーブやら隠し味も色々効いていて推せる。デフォルトで物価が高いことを考えると高級店の類ではないのだが、少なくとも日本の「いいイタリアン」くらいには美味しかった。
 この時はまだ知らなかったのだが、イギリスでは、メニューにあるミネラルウォーター(勿論高い)でなくとも、口頭で”Tap water,please.”と言えば水(多分水道水のこと)を無料で出してくれる。

モールを散策
 モールに入っているお店の種類が豊富なので、一旦解散して1時間ほど各自で見て回ることにした。私は特にあてはなかったので、物珍しさで日本にはないブランドの服などを見て回った。カフェの個数は日本の同じようなモール(AEONとか)より明らかに多い。1ブロック歩くごとにスタバやCOSTA COFFEE,CAFE NERO,PRET A MANGERなど多くのカフェがある。スタバ以外の3つは日本で見たことはないけれどイギリスだと至る所にある(追記:1ヶ月の滞在ではそれぞれのカフェブランドの雰囲気は掴みきれなかった。が、お洒落寄りのスタバと実用寄りのドトールというラベルを貼って両極に置くなら、COSTAがいちばんドトール寄り、他2つはスタバとドトールの中間なイメージ)。
 お菓子売り場も多い。日本では見ないお菓子も売っている。印象に残っているのはイタリアのお菓子、カンノーリ。東大の五月祭でイタリア語クラスが売っていた記憶。

実物の写真を撮り忘れたので参考画像で。
私が見た実物は白いパウダーがかかっていなかったので、一瞬稲荷寿司に見えないこともなかった。


 メドーオールは基本的に二階建てだが、1階と2階は吹き抜けになっていて開放感がある。2階をふらふら歩いていくと「KENJI」という日本グッズショップを見つけた。

右下にかっぱえびせん


 たしかに日本ぽさにはわりと忠実なんだけど、日本でよく見かける大手メーカーのお菓子やラーメンはあまり見当たらない。招き猫に至っては何かが違う感じがした…。

「順調である」はなんか違くないか…?

初フィッシュ&チップス

 さて、どのフラットも休日の食事は各自、ということになっているらしく、夕飯は「本場のフィッシュ&チップスを食べに行こう!」と決まった。
 シェフィールドの中心部に戻って、フィッシュ&チップスが美味しいと評判のCavendishというパブへ。私にとっては二夜連続のパブになったが、昨日のパブとはガラッと雰囲気が違う。音楽がかかり混雑して賑やかだった昨日のパブに対し、今日のパブは広くて落ち着いたレストランのような雰囲気。但しフットボールの試合の中継がかかっていて、お客さんの多くはビール片手にそれに見入っている。で、得点が決まるとすごい声量で吠える。イギリス人は日本人よりひとまわり身体が大きいので声の馬力が違う。この日は店が空いていたから良かったが、混んでいたら大変だっただろう。
 フィッシュ&チップスとおつまみセット的なものを注文。飲み物も合わせて£61。いや、フィッシュでかい…まるごと1匹揚げてある。5人で分けてちょうど良い量だった。シェフィールドは内陸なので魚の鮮度が少し心配だったが、食べてみたら文句なしに美味しかった。タルタルソース?(料理についてきた)とテーブルに備え付けのケチャップ、マヨネーズ(日本のものより甘味が少なくて塩味系のディップとして機能する)で味変もできて飽きない。

おつまみセットの内容はナチョス(中央),ガーリックトースト,オニオンリング,チキン2種

 入店したのは18時半ごろだったが、イギリスは日本よりも高緯度のため、一向に日が落ちず21時過ぎまでふつうに明るい。それゆえ「暗くなったし帰ろうか」というノリがほぼ存在せず、この日は21時半ごろまで3時間近くお喋りを楽しんで帰寮した。

他国からの留学生と卓球

 私たちの寮は教会を改修したレセプション棟、生徒が住むA〜G棟、ランドリーからなり、それらが中庭を囲うようにして立っている(同じ建物がエリアにより別の棟としてカウントされているところもあり、実際の建物の数はそれほど多くない)。
 レセプション棟の地上階には広い談話スペースと卓球台やビリヤード台がある。この日はパブから帰った後、ここへ行ってみた。

レセプション棟の談話スペース

 ケニア出身の留学生たちがいて、卓球をしていたので入れてもらった。彼らとも結構話したけれど、個人的に印象に残っているのは近くにいたナイジェリア出身の留学生と会話したこと。彼は留学生と言っても26歳で、既に社会人だった。
 さて、私は高校時代、地理や世界史といった科目が好きで深掘りしていたので、一般的な日本人よりもナイジェリアや西アフリカの解像度は多少高いと思っていた。けれど、初対面で話すような話題って、歴史や宗教ではない。主食や気候のような知識は「ナイジェリアってふだんどういうもの食べてるの?」とか「ナイジェリアは暑いからイギリスの夏はすごく涼しく感じる」みたいなやり取りの一助にはなったけれど、もっとライトな話題、音楽とかサブカルといったものへのイメージの解像度は明らかに足りなかったし、お互いに英語ベースで分かりやすく説明するほどのスキルはない。少し言語の壁や文化的な隔たりを感じてしまう経験だった。
 ただ、滞在中他の留学生とも話してみて、日本のアニメ・漫画、特に『NARUTO』は海外でかなりポピュラーらしいと分かった。エヴァンゲリオンを知っている人もそこそこ居た。少し意外だったのは『Demon Slayer(鬼滅の刃)』を知っている人には会わなかった(店頭で漫画やグッズ自体は見かけた)。まぁでもサンプル数が少ないのでなんとも言えないか。

怪しい勧誘を受ける
 0時近くなって一緒にいた日本人数人で「そろそろ寝ようか」と言っていると、30代くらいの明るい男性に話しかけられた。簡単に言うと、ロンドンで行われるというスポーツイベントへの勧誘だった。彼の言うところでは、電話番号(あるいはメアド)や名前、希望する出場競技を記入すれば後で連絡する、とのこと。会場は遠いからバスで連れて行くと言われる。シェフィールド大学公式でもスポーツアクティビティを用意していると聞いていたので、最初はそれの担当者かと思い怪しまなかった。ただ、あまりにいきなり電話番号や名前を聞いてくるし、彼サイドの情報、つまり主催者は誰なのかやイベントの詳細については何度尋ねてもほぼ教えてくれない。また、寮の中とはいえ、レセプションまでは実質誰でも入れるセキュリティなので身分の保証もない。こちらの英語力不足をいいことに煙にまかれている感じはあったし、不必要に危ない橋は渡らないほうがいいと思ったのでやんわり断った。
 ここまで約1時間。「明日からプログラム始まるんだけどな〜」と思いつつ部屋に帰って、深夜1時半ごろ就寝。

今回はこのあたりで。最後まで読んでくれてありがとうございました。


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