線香花火

昔、２ちゃんねるか何かの掲示板に「ドラゴンボールを７つ集めたら、どんな能力を手に入れたい？」っていうスレッドがあって、しょーもないエゴ丸出しの能力ばかり書き込まれている中で「えっーとね、線香花火の最後の一つが落ちないようにする能力！」っていう書き込みがあって、胸がキュンとしてしまった。顔も見えぬその人を思いっきり抱きしめたくなった。あなたは世界を支配する力よりそれを欲しがるんだね。

過行く季節、ささやかな人生の楽しい時間がいつまでも終わらないで欲しいという思いが、線香花火の最後の残り火が落ちないで欲しいと願うその人の姿に象徴されている感じがした。きっと胸の中にその線香花火の小さな小さな輝きは永遠に残り続けるんだろうね。人間の最大価値は存在であり感受性なんだと改めて思ったよ。

僕が昔大好きだったありましのっていう歌手の「線香花火」って曲がまた聞きたくなった。一回会社の寮祭でライブをお願いしたことがあって、HPを見たら今も元気に歌ってるみたいでとても嬉しい。僕はずっとブラジルにいるから次いつ彼女のライブに行けるかわからないが、僕の胸からあの曲の素敵な余韻が消えることは永遠にないだろう。

明日からまたホームレス乞食生活に戻るけど、僕はとても幸せであり、不幸だなんて微塵も思わない。実感を通して人間の価値をちゃんと知っているから。人間の不幸はすべて価値がわからないことに由来していると思う。