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映画「The Good Liar」

 映画「The Good Liar」をみた。主演女優はヘレン・ミレン。Apple+で「今週の映画」になっていた。「今週の映画」はお得な値段でレンタルできるのでよく見る。ちょっとケチ?まあ、その通りだが、ピックアップされる映画も好みに合うので、二重にお得だ。

 この映画は、詐欺師が騙されるという筋書きである。映画のシナリオとしては突飛でもないし、宣伝用のあらすじでもそんな筋書きを匂わせている。映画を見始めて早い段階で気づくだろう。

 だからミステリはその先にある。どこまでが味方なのか、絡み合う事実のいくつかは偶然なのか、動機はなんなのか?なかなかのストーリーテリングで観客を騙しの深みに誘い込む。

 最後のセリフはミステリとは全く関係ないシーンでありながら、秀逸である。このシーンは必要だろうか?当然、必要。これが無いと余韻を残せない。

It's deeper than it looks.

 カズオ・イシグロの小説の映画化である「私を離さないで」でも、最後のセリフで「はっ!」とさせられた。主演はキャリー・マリガン。日本では綾瀬はるか主演でドラマになった。

 キャリー・マリガンを観るためという、軽い気持ちで見始めたのだが、これがどうして、テーマは非常に重いものだった。人間性とは何かを考えさせるストーリーなのだが、最後の短いセリフ一つによって、どこか他人事のように見ていた自分に映画のテーマがのしかかってくる体験をした。

 映画のシナリオは大抵90分から120分くらいだが、最後の短いセリフによって全体をすくいとられて、見るものの方へ投げつけてくるような効果を産む。そういうのが面白いと思う。

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