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Goodbye Happiness/宇多田ヒカル(2010/11)

 最近、Youtube「ほんタメ」をよく見ている。MCはたくみとあかりん、こと齊藤明里。あかりんの読書量がすごいんだが、本の紹介も上手でひきこまれる。読みたくなってしまう、というわけで図書館に行ってあかりんの勧める本を見つけると借りている。

 「ひきなみ」著:千早 茜、角川書店、2021/4 は、そんな小説の一つ。主人公は女性で少女の時に両親の都合で瀬戸内海の小島に移り、友人を得る。ある事件のあと島を出て別れるが、大人になってから東京で再会する、というあらすじである。

 瀬戸内海の島には出張で行ったことがある。この本を読みながら島の造船所の様子や、連絡船の感じ、波の無い穏やかな海を思い出した。泊まった宿で紹介されていた島の住民の歴史も、この本の情景を思い浮かべるのに役に立った。

 小説で一貫して描かれるのは、女性の生きづらさである。終盤、生きづらさを感じながら生きている主人公を通し、作家は「闘わなくていい」「それぞれのやり方で生きたら良い」という姿勢を提案している。

 生きづらさがあるのは、女性に限ったことではないだろうと思う。けれども、日本の企業には男性の人数が圧倒的で、そのことを前提にした制度や文化が残っているところも多いだろうと思う。

ありのままで生きていけたらいいよね

宇多田ヒカル「Goodbye Happiness」

 これに似たフレーズをもつ歌はたくさんありそうだが、このところ、この歌が自分のヘビーローテーションなので、小説を読みながら思い出した。みんなが、闘わずに、それぞれのやり方でありのままに生きていけると良い。

 瀬戸内海に出張した時、朝早く起きたので窓の外をみると、眼下の海上を小舟が一隻、ひきなみを引いて横切って行った。瀬戸内海のひきなみは特別だ。波が無いから、すうっーとありのままに広がっていく。

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