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パラダイム変容を導く3つのプロセス

 今朝は、2017年6月頃のメモから派生して、宇田川元一先生からご教示いただいた「ディスコース分析」を振り返っていたら、批判的実在論(critical realism)ないし超越論的実在論(transcendal realism)という思想に基づいた『批判的ディスコース分析(CDA)』と『社会構成主義』の学会における対立構造という、マニアックなメモが残っていたのを発見した。
 僕自身は、『誰もがディスコースに醒めている日常』を、ひとつの在りたいビジョンのひとつのステップとして観ている。そのビジョン実現のためにも、素朴な(純粋な)世界の有無については、多様な思想があった方が健全ではないか、というスタンスに、今日僕は居るのだと思う。

 個人のパラダイムは、社会に蔓延しているディスコースと相互に影響し合っているし、その集合体が小さいほど、間主観性が濃いほど、その相互影響は強くなる印象が僕にはある。『個人のパラダイム(心理学的)』と『集合のディスコース(社会学的)』をメタ・システムとして捉えるパースペクティヴを探索していたら、数年ぶりにボブ・スティルガーのモデルに再会した。
 狙いのど真ん中じゃないんだけどね。

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個人的な印象として、とてもシンプルなのだけれど、3つのプロセスが観てとれる。

古いパラダイムを安定させていた「何か」から距離をとり(客体化、外在化し)、人々が「何か」新しいことをスタートするプロセス

新しいパラダイム(システム)を創出(創発)させる「何か」が芽出るプロセス

古いパラダイムと新しいパラダイムを架橋する「何か」がその変容(変遷)を見護るプロセス

 この「何か」を、”ディスコース”として観察できるかもしれない。僕自身が今日感じているのは、この3つのプロセスを観察しつづける営為。この『3つの観察』は、実は『願い』であり、『祈り』なんじゃないか、と思っている。

ボブ・スティルガーの著作に、5つのコツ(留意点)の記述もあるので、原文とDeepL翻訳を貼り付けておきます。ご関心のある方は上記のPDF(モデル図をクリック)をご覧ください。

Here are some other things to keep in mind:
Gradually, we begin to create a strong new normal.

1. Much of what we do doesn’t work! Things fall apart. We have to persevere, take one step at a time.
2. The social labs and communities of practice pictured in the diagram for creating the new are needed at all stages of the process.
3. People in the old paradigm also need to be learning with each other, as do the people building bridges.
4. Likewise, bridge building — inviting others to try something new — is going on throughout.
5. Finally, it is helpful to keep the whole model, the whole system in heart/mind. Many different people are doing the work they are called to do; offering their gifts and insights is what sets the stage for transformation.


ここでは、その他の留意点をご紹介します。
徐々に強い新常識を作り始めます。

1. 私たちがすることの多くはうまくいきません。物事は崩壊する。辛抱強く、一歩ずつ進んでいかなければならない。
2.  新しいものを生み出すための図に描かれているソーシャルラボや実践のコミュニティは、プロセスのすべての段階で必要です。
3.  古いパラダイムにいる人たちも、橋を架ける人たちと同じように、お互いに学び合う必要がある。
4.  同様に、新しいことに挑戦するために他の人を招待するブリッジビルディングも、全体を通して行われています。
5.  最後に、モデル全体、システム全体を心に留めておくとよいでしょう。さまざまな人が、自分が求められている仕事をしています。彼らの贈り物や洞察力を提供することで、変革のための舞台が整うのです。
(DeepL翻訳)


ベルカナ研究所のサイトはこちら


ボブ・スティルガーの日本語訳もあったのですね。


宇田川元一先生からご紹介いただいた、ディスコース分析に関する文献二冊。

『ハンドブック組織ディスコース研究』

『ディスコースを分析するー社会研究のためのテクスト分析』フェアクラフ


宇田川先生の著作。感謝の気持ちをこめて。


探究はつづく…

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