なぜサッカーでは「2対0はセーフティリードではない」と言われるのか
この点について、拙著『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』より抜粋してみます。
「メンバーがどのような動きをするか、互いに予測できる力」を「予測力」といいます。
サッカー監督が主人公の漫画『ジャイアントキリング』では、状況が変わったことにより予測力が下がって失敗するシーンが描かれています。「2対0で勝っていたチームが逆転されるシーン」です。
サッカーでは、2対0はセーフティリードではないと言われます。逆転されたり引き分けに持ち込まれるケースがたびたびあるということです。
・そもそも2対0になったことで、「もう大丈夫かな」という油断が生まれやすい。
・1点返されると2対1、あと1点で同点。しかも、流れは1点返したほうのチームに行っていたりする。
・そこで「浮き足立つ」とホントにもう1点取られて2対2になる。
・その勢いでもう1点取られ、逆転される。
こんなことがたびたび起こります。この「浮き足立つ」という部分を「予測力」の視点で詳しくみてみましょう。
2対1にされたときに、「もっと攻めて3対1にする」のか、「もう失点しないようにガッチリ守って逃げ切る」のか、という部分の価値基準が明確でないとメンバーの判断にバラツキが出ます。ひいては、ゲームの進め方のビジョンがバラバラになります。
そうすると、自分たちがボールを奪ったときに、攻めにいきたい人、パスを回して時間を稼ぎたい人が混在するため、互いの動きの予測可能性が下がっていくのです。
このような場合において、監督がメッセージを送るための大きな手段は「選手交代」でしょう。攻めの選手を下げて、守りの選手を入れれば、「守り切るぞ」というメッセージですし、逆ならば「もう1点取りに行け」だとわかります。
これが「同じポジション同士での交代」のような中途半端なメッセージだと、選手たちの迷いが深まり、お互いの予測可能性が下がることになりかねないわけです。
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(出典)