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ベーシストのつぶやき

十五歳でバンドを始めて四十数年、メンバーからびっくりするようなことを言われました。
曲のクオリティーは求めていない
耳を疑いましたよ。ベースを始めて以来、元の曲にどうやって近づけるか?あるいは、どうやったら自分らしく弾けるか?を追求してきた者として理解の範疇を超える発言でした。ていうか、それまでの私のキャリアを否定された感じさえありました。

経緯は、バンドのレパートリーを増やそうという話しになりましてね。
3曲のレパートリーを3週間後に倍増したいそうです。まだ全体でのスタジオ練習も回数が少ないバンドです。私としては初心者もいるバンドだし、個々の曲のクオリティーを上げる方が先なんじゃないの?と問いかけたわけです。そしたら、先の発言がありました。以来、ストレスフルな日々を送っています。

バンドの状態は、と言えばハネた8ビートが覚束ない、曲の構成も怪しいとかなり不安。そりゃ誰だって初心者だったワケだから、今の状態を否定はしない。
だけど、今の状態を無視して先に進むのはどうしたものか?
疑問が残ります。

こうした場合、とっととバンドを脱退するのもアリだと思うんです。意見が合わない、音楽的志向の不一致。なんでも理由は付けられる。
でも、そうしない理由のひとつには、「是非参加して下さい」と請われたバンドだから。「あなたの経験をバンドに活かして下さい」と言われたから。
その経験が「今はレパートリーを増やすタイミングではない」と判断しました。
私としては、クオリティーを求めないバンドはバンドに非ず、ただの親睦団体、仲良しクラブに過ぎないと信じております。バンドにも向上心が必要。
初心者がバンド内にいれば、経験者が優しく時に厳しくアドバイスを送る。互いに切磋琢磨して共通の目標を目指す。それがバンドと信じて四十数年やってきました。
なのにねぇ‥。


たぶん今頃、私を除いたメンバー同士でオンライン会議でもやっているんじゃないかなぁ。「アイツ(私の事)は傲慢だ」、「経験を自慢している」とかなんとか。

辞めるのは簡単。
でも、候補に挙がっている曲にも魅力を感じているし、バンドが上を向くと信じていたい。
いっそ、知らんふりしてこのまま曲を完コピしてやろうか。そうして3週間後のスタジオ練習で「オラッ!」って勢いでベースを弾き倒してやろうかな。かなり性格悪いやり方だけど。

このまま辞めてしまうのは、つまらない。
このまま続けていくと、またストレスを感じるのは目に見えている。
どうしたものか…。

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