「ルーティング」だけじゃない!ラベルを付加したパケット高速転送法「MPLS」
「通信事業者さんやISPさんは、自社ネットワークの中でどんなデータ転送をしているんでしょうね?」
はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「基礎から分かる!ルーティング大全」第15回でございます。
前回は、AS間のルーティングを行うEGP(Exterior Gateway Protocol)であるGP4をご紹介しました。パスベクトル型プロトコルで、AS番号を用いてルーティングを行うのでした。
さて、今回は、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)です。聞いたことがありますか?あまりないですよね。
これまでご紹介してきたとおり、ルータは、IPパケットをIPアドレスに基づいて「ルーティング」して転送しますよね。
ところが、IPパケットに「ラベル」を追加して、そのラベルに基づいて「ラベルスイッチング」して転送する技術があるのです。それが、MPLSです。IPアドレスによるルーティングに慣れしたしんできた私たちにとって、ちょっと驚きですね?違います?
この技術により、転送速度を向上できるなどのメリットがあります。
果たしてどんな技術なのか早速見てみましょう!
MPLSとは?
通常のTCP/IPネットワークでは、ルータがパケットの宛先を判断するためにIPヘッダを確認し、ルーティングテーブルを参照して次の転送先を決定しますね。ただ、これには少し時間がかかります。
しかし、MPLSでは、パケットに短いラベルを付けて、ルータは、そのラベルを見るだけでシンプルに転送するので、処理が高速になります。
まずは、ラベルをパケットに付加したシンプルな転送なんだな…と思っていただければOKです。
MPLSの動作原理
もう少し具体的に見ていきましょうか。図にしておきますよ。
IPパケットがIPネットワークからMPLSネットワークに入る際に、最初のルータ(Label Edge Router、LER)がパケットにラベルを付けます。このLERは、ラベルを入口で追加し、出口でラベルを剥がすのがお仕事です。
このラベルは、パケットがネットワーク内を移動する際の識別子として機能します。パケットが目的地に到達するまで付いたままです。途中のルータ(Label Switching Router、LSR)は、このラベルを見て、次にどこへ転送すべきかを瞬時に決定します。
MPLSネットワークの出口ではLERがラベルを取り除き、パケットを元の形に戻して、IPネットワークに送り出します。
上記のように、MPLSネットワーク内に限って、専用のタグをつけてしまってその中では高速に転送しようという仕組み何ですね!
MPLSの利用場面とメリット
MPLSは、通信事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)が、自社ネットワーク内でデータを高速に転送するために利用されます。
が、実は、その高速転送以外の特徴に注目が集まっています。
例えば、ラベルを利用して仮想的なパスを作ることができるので、異なるIPネットワーク間でのデータ転送を効率化してIP-VPNを構築することができます。
また、MPLSを利用して、通信の種類に応じた優先度付け(Quality of Service、QoS)といった通信制御ができるなど、その応用は多岐にわたります。
はい、本日はここまで!今回はラベルを付加して、そのネットワーク内の転送を高速化するMPLSをご紹介しました。人類の高速化へのあくなき探究心を感じますね!
次回は、ループ回避に関するお話しをしていきましょう!では!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?