見出し画像

その8:ネットワークにつなぐのか、つながないのか、それが問題だ

前回からの続きです。

オンライン参加者のために、講演者のカメラ映像と、講演者の音声を配信する環境は最低限ながら構築することができました。会場参加者のための映像と音声については、最初から会場の設備(PAシステム、プロジェクタ、スピーカーなど)を使えましたから、あまり問題はありませんでした。

画像1

上のように、だいぶ形になってきましたが、講演者の発表スライドをいかに配信するか?という点で、課題が浮かび上がってきました。イベントのリハーサル中のことです。

スライドを「カメラ映像」として配信する?

最初の想定はこうでした。
・講演者のスライド(パワポ)を表示するPCは、LANに繋がない
・発表用PCのHDMI出力と、スイッチャー(Atem)のHDMI入力をHDMIケーブルで結び、映像信号のみを送る。
・スイッチャーのUSB出力を配信用PCに映像を送る
・配信用 PC で、その映像を「(仮想)カメラの映像」として認識させ、配信する。

これにより、発表スライドを「カメラ映像」という形でオンライン参加者は見ることになります。

画像2

これでうまくいくでしょ?と思ったのですが、やはりというか、問題があるのです。

問題1:解像度が低い

一つは解像度が低いということ。「カメラ映像」は、普通は高い解像度を求められていません。発言者の顔を高解像度で表示する必要はないのでしょう。このため、スライドを「カメラ映像」として配信してしまうと、スライド画像が粗いのです

問題2:余計な表示がスライドを隠す

もう一つは、スライドの上に余計な表示が出てしまうということ。「〇〇さんが発言中」とか、配信プラットフォーム(この場合Webex)のポップアップが表示されるのです。本来、「カメラ映像」ですから、ふつうは顔を映しているので、端っこにポップアップが出ても気になりません。が、今回は顔ではなく、スライドを表示しているので、これでは困るのです…。

これでは、スライドの肝心なところが隠れてしまいます。研究発表のスライドは、隙間なく情報が詰まっていることが多いです。講演者の方に、「隙間が多くなるようにスライドを修正してください」なんて、運営側から言えません。参っりました。

発表者パソコンから直接配信

これを解決するにあたり、講演者の PC をネットワークに接続して、配信プラットフォームにログインして、そのパソコンから直接「コンテンツ共有」するという形をとることにしました。せっかく会場で発表しているのに、会場外の講演者のように発表することになります。

これにより、余計な表示がスライドを隠すこともなくなり、高解像度で配信させることができるようになりました。

ただ残念なことに、スライド映像に何ら加工を施して配信できません。例えば、配信用パソコンに、カメラ映像として取り組めば、テロップを載せることなどができます。が、それができなくなります(当時はまだ OBS NDIを使って、こった配信映像を作る方法について、知見がありませんでした)。

とはいえ、シンプルではありますが研究発表のスライドをを確実に配信することができます。まあ、いいか。

持ち込みパソコンが使えない?

ただし、重要なメリットを失いました。この方法を採用すると、発表するパソコンは LAN に接続できる必要があります。「Wi-Fiでいいのでは?」とも言えますが、この例の配信環境には、自由に使えるWi-Fiはありませんでした。

この環境では、「発表者の持ち込みパソコンは使えない」ということになります。発表者のパソコンは、職場のLANに簡単につなぐことはできません。

従来型のプレゼンであれば、プロジェクターに表示させるだけですから、講演者は自分のパソコンを持ち込んで、HDMI ケーブルに接続するだけで済みました。オンライン配信も並行して行うとなると勝手が違います。

LAN ケーブルに接続させることを前提にすると、会場には講演専用の PC を配置しなければいけません。そうしますと、講演者にスライドファイルをUSBに保存いただき、それを講演専用PC に接続させることになります。いまどき、USBメモリの扱いはセキュリティ上とても厳しいです。今回は、会場での講演者が職場の人だったので、問題なかったのですが、外部の講演者が会場で発表するケースは少し注意が必要です。

これですべて解決か、と思いきやまだまだ乗り越える壁がありました。

次回に続きます。では、ビーダゼーン!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?