【Wi-Fiの仕組み】デバイスごとにルータがあるみたい?MU-MIMO
はい、こんにちは。前回記事からの続きです。サイバーセキュリティにおいて重要なテーマの一つである「無線LAN」の仕組みについてシリーズ記事でご紹介します。
前回は、IEEE802.11ac、いわゆる「Wi-Fi5」の概要についてご紹介しました。80MHz(最大160MHz)のチャネルボンディングなどにより、ギガビットの高速な伝送が可能になったのでした!
そして、今回は、その続きとして、「MU-MIMO」をご紹介します。この技術も高速な伝送に貢献しています。一体どんな技術でしょうか?
早速みていきましょう!
MIMOの進化版!
MU-MIMO(マルチユーザマイモ)とは、Multi User Multiple Input Multiple Outputを略したものです。MIMOのマルチユーザ版ということですね。IEEE802.11ac Wave2(第2世代)から取り入れられています。
話を進める前にそもそも「MIMO」って何でしたっけ?データの送受信に複数のアンテナから同時に信号を送る技術でしたね。11acの前の規格、「11n」に取り入れられました。この技術は、MU-MIMOの登場により、「SU-MIMO」(シングルユーザマイモ)と呼ばれることもあります。
実はSU-MIMOは「順番待ち」をしていた
では、MU-MIMOでは、何ができるのでしょうか?
実は、複数のデバイスが同時にルーターと通信できるようになります。
「いや、ちょっと待て。Wi-Fi4のときからルータに複数のデバイスをつないで使っていたはずだ」っというツッコミはごもっともです。
しかし、それは、人間から見ると同時に通信しているように見えても、実際は一度に1つのデバイスとしか通信していません。各デバイスは、ルーターと通信するために「順番待ち」をしていたのです。
これは、データを伝送する量が少ない時はあまり問題になりません。ただし、 動画をストリーミングで見たり、伝送量が増えるとうまくいきません…。困った。
まるでデバイスごとにルータがあるように
他方、MU-MIMOでは、デバイスが順番を待つ必要がなくなりました!
これにより、複数のデバイスとの通信が(文字通り)同時に可能になります。
ルータが分割されて、デバイスごとに独自にルータが割り当てられている…そんなイメージです。イメージですよ…。
これで多くのデータを受信しているときに、インターネットの速度が大幅に向上します。
ターゲットに向けて信号を送れ
この素晴らしいMU-MIMOという技術ですが、これを支えている別の技術があります。それが「ビームフォーミング」(Beamforming)です。
なんだかカッコいい名前ですが、信号を特定の方向に強く送信する手法です。通信相手のデバイスを狙って信号を送るんです!このビームフォーミングで、「デバイスごとの専用の道」を作られます。
このビームフォーミングがないと、信号はあらゆる方向に送られます。例えていうなら、どの方向にも光を照らしてしまう「電球」みたいなものです。これでは、他の機器と干渉が起きやすくなります。
一方、ビームフォーミングは、「懐中電灯」みたいなものです。光は特定の対象に向けられます。これと同じことです。
この技術のお陰で、信号の到達距離が伸びて、信号を受信しやすくなります。
はい、本日はここまで!本日は、MU-MIMOと、その関連技術であるビームフォーミングについてご紹介しました。
次回は、6番目の規格にして現在の主流「Wi-Fi6」(IEEE802.11ax)について取り上げます。
では!
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