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IoTはコノ通信技術により支えられていた:低電力・低速・長距離「LPWA」

「通信速度は速くなくてもいいから、電力消費が少ない通信技術は何に使われると思いますか?」

はい、こんにちは!松井真也です。新シリーズ「1分でわかる!ネットワーク用語」第3回でございます。

前回は、WiMAXをご紹介しましたね。人口が少ないエリアをカバーすることを期待されていた技術で、携帯のネットワークの逼迫を緩和する(データオフロード)役割もあるのでしたね。

さて、今回は、LPWAをご紹介します。これまた聞きなれない用語ですね。でも、実はIoT社会を支える重要な通信技術なのですよ!では、いったいどのように使われているのでしょうか?

早速見てみましょう!

LPWAとは何だ?

LPWAは、「Low Power, Wide Area」の略です。その名の通り、低い消費電力で広範囲をカバーする無線通信技術を指します。

なお、この用語に、「N」を追加して、LPWAN(Low Power Wide Area Network)は、この通信方式で構築されたネットワークのことを指すんですよ。

LPWAの最大の特徴は、乾電池などの限られた電源でも長期間稼働できることと、十~数十kmもの遠距離や広範囲をカバーできることです。

そして、通信速度は、100bps~1Mbps程度と、だいぶ遅いです。パソコンやスマホでは使えませんね。

では、いったい何に使うのでしょう?

IoT製品とLPWAの深い関係

実は、さまざまな場所でIoTデバイスを利用するために使います!

具体的には、環境センサーやスマートメータ、遠隔制御装置など、多岐にわたるIoT製品で利用されています。また、自動車や家電製品などの組み込み機器にも活用されているんですよ。

これらの利用方法では、数十~数百kbps程度の通信速度で充分であることが多く、特に高速なデータ伝送能力は必要ありません。IoTデバイスが、「動画ストリーミング」を視聴したりしませんからねw。

これらは、むしろ電力の確保が難しい環境でも、省電力で通信できることの方が重要だから、LPWAのような低電力・長距離通信の技術が必要なんです。

よし、利用目的が分かってきました!

LPWAの免許と規制

長距離の電波を飛ばすということは、周囲に迷惑をかける可能性があります。

このため、LPWAには免許が必要なもの(ライセンス型LPWA)と、不要なもの(アンライセンス型LPWA)があります。

ライセンス型LPWAでは、通信事業者が基地局を設置し、基地局エリア内で通信サービスを提供しています。使用する周波数帯は、700MHz、800MHz、1.5GHz、2.1GHzとなっています。

アンライセンス型は、免許不要で私的なネットワークを構築・運用できる利点があります。

LPWAの主な通信規格とその特性

LPWAは、通信規格の総称です。具体的な技術としては、「Sigfox」、「LoRa」、「Wi-Fi HaLow」など、さまざまななものが存在します。

これら特徴を少し見てみましょう!通信距離が短い順に並べます。

1)Wi-Fi HaLow

Wi-Fi HaLowは、IEEE 802.11ahに基づく規格です。IEEE 802.11シリーズですから、その名のとおりWi-Fi技術の一部です。従来のWi-Fiよりも遠距離かつ低消費電力を実現しています。

この規格は、1MHz未満の帯域幅を使用し、数Mbps程度の通信速度を提供します。通信距離は1km程度とされます。

Wi-Fi HaLowは、家庭用のスマートデバイスや産業用のセンサーネットワークなど、中距離から長距離のアプリケーションに適しています。

2)LoRa(Long Range)

LoRaは、アンライセンス型で、その名のとおり、長距離通信を可能にするLPWA技術の一つです。

この規格は、Chirp Spread Spectrum(CSS)という変調技術を採用しており、数km~数10kmの通信距離を実現しています。

通信速度は、250kbps程度です。LoRaはエネルギー効率が高く、バッテリー駆動のセンサーやデバイスに最適です。LoRaWANというプロトコルにより、広範囲のネットワークサービスを提供することができます。

3)Sigfox

Sigfoxは、アンライセンス型で、超狭帯域(Ultra-Narrowband)技術を用いたLPWA通信規格です。通信速度は低速で、最大100bpsから600bps程度とされていますが、その代わりに非常に低い消費電力で運用でき、長距離通信が可能です。

カバー範囲は、どれくらい開けた土地なのかにもよりますが、数10km~数100kmに及びます。ずいぶんと遠くまで飛びますね!

主にセンサーデータの送信や位置追跡など、小容量データの送受信に適しています。

ということで、これらの規格は、それぞれ異なる特徴を持ち、用途に応じて選択することになります。


はい、本日はここまで!今回は、IoTデバイスを支える通信技術「LPWA」についてご紹介しました。

次回は、センサー技術として重要な「Zigbee」をご紹介します。

ではまた!

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