インターネットの舞台裏を支えるキープレイヤ「ルータ」:その意外な役割とは?
「自宅のルータと、会社の大規模ルータ…何が違うんだろう!?」
はい、こんにちは!松井真也です。新シリーズ「基礎から分かる!ルーティング大全」第1回でございます。
今回は、異なるネットワーク間でデータを中継する「ルータ」という機器のお話しでございます!ルーティングシリーズの最初のテーマとして、相応しいものを選びました。ルーティングの最重要機器です。
そんなもの分かっている!という方も、スイッチと何が違うんだっけ…という方も、とにかく重要なネットワーク機器ですから、どんな機器かさらっと確認しませんか?
では、いってみましょう!
「ルータ」って何でしたっけ?
ルータとは、簡単に言えば「インターネットの中継点」といして、ネットワークの間でデータを取り持つ機器です。
我々がインターネットを利用する際、データは多くのネットワークを経由して目的地へ届けられます。この複雑なルートを決定し、データを正確に送り届ける役割を担っているのがルータでございます。
OSI参照モデルでいうところの第3層(ネットワーク層)の機能を担当します。他方、過去に紹介したイーサネット(第2層のプロトコル)は、ネットワーク内のデータ伝送が中心でしたね。
ですから、基本的には閉じたネットワーク内でデータ伝送するような場合には、あまり活躍できない機器です。この場合は、スイッチが主人公です。ただし、ネットワーク構成や要件によります。サブネット管理に使うとか、セキュリティ目的で使うとかね。
IPアドレスを見てデータ伝送
ルータの一番の特徴は、IPアドレスに基づいてデータを転送すること、といっていいでしょう。
例えば、あなたがインターネットを通じてウェブサイトにアクセスするとき、そのウェブサーバのIPアドレスに基づいてデータが送られます。ルータは、そのデータを受け取り、最適な経路を選択して目的地へと送り出します。
そういえば、MACアドレスというアドレスもありましたね。こちらは、第2層用のアドレスで、主にネットワーク内のデバイスを識別するためにあります。役割が違うんですよ。
データの処理はどう決める?
では、ルータはどのようにしてデータを処理し、転送するのでしょうか。
ルータの基本的な機能の一つが、パケットの解析です。インターネット上でやり取りされるデータは「パケット」と呼ばれる小さな単位に分けられています。このパケットのようなデータの伝送単位のことを一般にPDU(Protocol Data Unit)といいます。イーサネットの場合は、「フレーム」でしたね。
ルータは、これらのパケットを受け取り、そのヘッダにあるIP(インターネットプロトコル)の制御情報を読み取ります。この情報には、パケットの送信元と宛先のIPアドレスが含まれており、ルータはこれを基に次の行動を決定します。
次に、ルーティングプロセスです。ルータは、パケットをどの経路で送るかを決定するとき、「ルーティングテーブル」と呼ばれるデータベースを参照します。
ルーティングテーブルには、様々な宛先に対する最適な転送先が記録されているため、ルータはこの情報を基に効率的な経路を選ぶことができるのです。ここら辺の話は、別の投稿で詳細に話ますのでお楽しみに!
独りで何役?小規模ネットワーク
「あれ、自宅にあるルータはもっといろんなことやっているんじゃないか?」と思った方、その通りです!
実は、小規模なネットワークでは、ルータはモデム、ファイヤウォール、VPN(Virtual Private Network)、さらにプライベートIPアドレスの払い出し(DHCP)など、複数の役割を一台でこなすこともあります。
家庭や小規模オフィスなどで使用されるルータは、セキュリティの確保やプライベートネットワークの構築など、多様な機能を備えています。
小規模なネットワークでは、機器などを複数準備して障害があっても機能が停止しにように備える、いわゆる冗長化もしないことが多いですから、このルータが壊れるとネットワーク外への通信が止まります…。
でも、影響範囲はその小規模ネットワークの中だけですから、リスクとして受け入れることが多いですね。
専門特化の大規模ネットワーク
一方、大規模なネットワークでは、ルータは自分が本来もっている役割にできるだけ集中します。
ルータの本務は、複数のネットワークを結ぶ要として、データを効率的かつ迅速に転送することです。ネットワーク内部のデータ制御などはL3スイッチに任せ、その他の機能も専門ののサーバ(DHCPサーバとか)に任せて、セキュリティも他の機器と分担して担います。
ですから、ルータと一言でいっても、まず規模感でちょっと異なるんですね!
はい、本日は、ここまで!今回は、IPルーティングの最重要機器であるルータの概要をご紹介しました。第1回ですからね。基本的なところに集中しました。
次回は、ネットワーク内で異なる役割を果たすルータについてご紹介します。
では!
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