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スマホはどうしてみんなで同時に使えるの?多元接続方式の話

「いろんなスマホが基地局に同時にアクセスして、基地局は混乱しないんだろうか?」

はい、こんにちは!松井真也です。新シリーズ「1分でわかる!ネットワーク用語」第13回でございます。

前回から、移動体通信についてのお話しを始めました。みんな大好きケータイやスマホに使われる通信技術ですよ。前回は、アクセス回線を構成する登場人物(端末、基地局、交換局)がどう連携するかについてお話ししました。

端末と基地局と交換局が連携する

さて、今回は、多くの端末が同時にアクセスすることを可能にする技術「多元接続方式」についてお話しします。考えてみたら、同じ空間に複数の端末から信号をいろいろ送って基地局は大丈夫なのか?って思いませんか?

その秘密を1分くらいで、知った気分になりましょう!

では続きをどうぞ!

多元接続とは何でしょう?

まず多元接続という一見難しそうな用語について簡単に話しますね。

多元接続とは、一つの通信路を複数の端末が共有して同時に通信する技術です。

バス型トポロジーでは、CSMA/CDという多元接続方式により、コリジョン回避に使われる…という話を以前イーサネットの記事で紹介しました。一つの母線を早い者勝ちで分捕りあう、もとい、分かち合うあれです。これも多元接続技術の一種です。現代では、ほぼ見かけませんけれども。

バス型トポロジー

が、特に無線通信の分野でもっと重要です。同一の周波数帯を多くの機器で共用するための技術として知られています。

はい、これで多元接続とは何か、なんとなく分かりました。ただ、この無線通信における多元接続方式には、いくつかの種類があります。ですから、主なものを一つずつ見ていきましょう!

1)FDMA(周波数分割多元接続)

FDMAの話をする前に一言。用語が長すぎて覚える気になりませんよね。ですが、DMA(分割多元接続;Division Multiple Access)の部分は共通ですから、出だしの単語に注目しましょう。

さて、FDMA(Frequency Division Multiple Access)は、通信に利用する周波数帯を細かく分割し、それぞれの通信主体に割り当てる方式です。

FDMAの簡単なイメージ

例えていうなら、一つの大きな「通信の道」を小さな「通信の小道」に分け、それぞれの利用者が自分の小道を使って通信するイメージです。

この方法の利点は、複数の利用者が途切れることなく常に通信し続けることができる点にあります。Aさんはこの周波数帯、Bさんはこっちの周波数帯のように。

しかし、周波数帯の間にはガードバンドと呼ばれる空白を設ける必要があるため、周波数を効率よく使えているとは、あまり言えません

FDMAは、携帯電話の第1世代で使われました。

2)TDMA(時分割多元接続)

TDMA(Time Division Multiple Access)は、時間を分割して複数の主体に割り当てる方式で、通信の権利をミリ秒単位で均等に分割します。

TDMAの簡単なイメージ

これによって、各主体が順番に通信します。この方式は周波数の利用効率が高いですが、タイムスロットの間にわずかな空白時間(ガードインターバル)を設ける必要があるため、今度は時間の利用効率がよくありません

う~ん、一長一短ですな。こちらは、携帯電話の第2世代で使われました。

3)CDMA(符号分割多元接続)

CDMAは、送信データに異なるコードを掛け合わせて送信する方式で、複数の送信者が同時に同じ周波数で送信しても、受信側がそれぞれのデータを区別できるようになっています。おお、そんなことできるんですね。

CDMAの簡単なイメージ


この方式の魅力は、時間や周波数を分割することなく効率的に共用できる点にあります。さらに、信号が広範囲に分散して送信されるため、ノイズや干渉に強いです。

CDMAは、携帯電話第3世代で使われました。

4)OFDMA(直交周波数分割多元接続)

OFDMAは、周波数帯の中に多数の狭い帯域の搬送波を形成します。この方式では、各サブキャリアの使用権を短い時間ごとに分割し、異なる利用者に割り当てます。電波状況に応じて割り当てをきめ細かく変化させることができるため、非常に効率的に電波を活用することができます。

携帯電話第4世代に使われています。

上で紹介した、TDMAとOFDMを組み合わせます。OFDMはこちらを参照ください!

はい、本日はここまで。今回は多元接続方式についてお話ししました。

次回は、通信世代のお話をします。

では!


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