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すぐ使えるクリティカルシンキング入門編

クリティカルシンキングは Critical Thinking(批判的な思考)で表される思考法で、グロービスでのMBA授業では必修の授業になっているそうです。

「名前は聞くけどよくわからない」「ネットで調べてみたけど、どう学べばいいかわらかない」と思う方向けに、実際に使ってみた自分の経験と以下の本を参考に紹介します。


まず、僕のクリティカルシンキングの定義はこうです。

クリティカルシンキング= 論理的思考 × 想像力 x 創造力

クリティカルシンキングとは、考えるべきことを正しくとらえ、問題解決に導くための思考力のことです。

複雑な問題であるほど、「何を考えるべきか?」の課題設定が肝心です。よって事実を正しく整理し、説得力のある内容を組み立てるために論理的思考が役立ちます。

また、変化の激しい時代では、判断に必要な情報すべてが手に入ることはありません。よって、目の前にない状況を想像する力が欠かせません。

あらゆる情報を書き集め、正しい想像ができたとしても、導き出す結論はアイディア次第。質の高い効果的なアイディアを生むには創造力が大事です。

ミシガン大学でのクリティカルシンキングの定義

ミシガン大学では、学生向けのサイト内でクリティカルシンキングを次のように定義をしています。僕なりの日本語翻訳も添えてみました。

日本の大学じゃ、こんなこと教えることはないだろうな…なんて思ってしまいますが。

Critical Thinking is the process we use to reflect on assess and judge the assumption underlying our own and others ideas and efforts.

(日本語訳)
クリティカルシンキングは、私たち自身や他者のアイディアや取り組みの根底にある仮説を、評価および判断するために使用するプロセス

ミシガン大学では、自分や他者の仮説に対して「本当に正しいのか?」と懐疑的な態度で評価や判断することをクリティカルシンキングとして定義しています。まだまだ抽象的でとらえにくいですね。

よく見ると、クリティカルシンキングを構成する4つの要素として以下の内容が紹介されていました。

Components of Critical Thinking
1. Identifying and challenging assumptions.
仮説を確かめたり深く考えること。
2. Recognizing the importance of context.
文脈(明文化されないこと)の重要性を認識すること。
3. Imagining and exploring alternatives.
(あらゆる)選択肢を想像し探求すること。
4. Developing reflective skepticism.
深く、懐疑的な思考を育てること。

僕が定義した要素とは異なりますが、これもまたクリティカルシンキングを説明した要素です。このように、クリティカルシンキングは語り手によってニュアンスが異なります。

ロジカルシンキングと比べると、抽象化された説明が多く、どうしても学習の入り口が難しいテーマなのです。

ここからは、自分が普段のコミュニケーションで利用しているクリティカルシンキングの一例を紹介します。トレーニングで高めていける能力ですので、使いやすい方法をまずは実践することが大事です。

「何を考えるべきか?」イシューを考え、押さえ続けること。

クリティカルシンキングを「問題解決」に生かす場合、まずは考えるべきこと = イシューを特定することから始めます。

上司から「もっと在宅勤務の効果を高められないかな?」と聞かれたとします。ここで「はい、考えます!」としてはダメです。一度必ず立ち止まり、イシューを特定させます。

例)
・在宅勤務で起きている問題は何か?
・在宅勤務で高めたい効果は何を指しているか?
・全社の問題か、それとも特定の部署や業務の問題か?

わからなければ、直接上司に聞いたり、他のメンバーと相談してみたり、必ず情報を集めてから出発しましょう。間違ったイシューを設定すると、必ず、間違った結論が導かれてしまうからです。

特に注意が必要なのは、イシューを押さえ続けることです。会議中、どんどん話の方向がズレてしまう経験はありませんか?イシューが不明確の場合、参加者は、そもそも何を論じるべきかがわからないため、ズレてしまうのです。

イシューが明確であれば、仮に話の方向がズレていっても、また、立ち戻ることができます。

「隠れた前提」自分と相手は背景知識や前提が異なることを認識する

クリティカルシンキングでは、知識や前提のズレによって誤解が生じることを理解しておかなければなりません。ずれによって起きるのは、僕が大好きなアンジャッシュのすれ違いコントのような現象です。

隠れた前提によるズレは、ビジネスでは日常茶飯事だと思います。先ほど例に挙げた、「もっと在宅勤務の効果を高められないかな?」という上司のコメントはまさに良い例です。

上司は、部門長の会議に出ていて、「在宅勤務に対するマネジメントの難しさの声」や「営業部門の成績が落ちている事実」、「管理部門では出社しなければ進まない仕事が多い」などの課題を目にしているとします。

一方、僕自身は上司が持っている情報を少しも所有していません。もし、隠れた前提を疑わず、対策案を考え始めてしまったとしたら、何が起こるでしょうか?

上司からすれば、期待と違う提案を持ってこられるかもしれませんし、部下である僕からすると、「いや、知ってる情報くれよ」ってモチベーションに悪影響が出たりします。

少なくとも、あなたの上司を変えることは難しいので、自分自身が認識し、隠れた前提を確認する作業を怠らないようにする必要があります。

「誰もがわかる」具体的な言葉や表現を心がける。

まず、パッと思いつく言葉のほとんどが、曖昧で、抽象的であり、そうした表現を好んで使うことを理解しましょう。

「もっと在宅勤務の効果を高める」は抽象的な表現を象徴しています。

例)
もっと:何に対して?時間軸で比較?同業他社と比較?
在宅勤務の効果:何に対する、どのような効果を期待?
高める:どのくらい?数値で表すとどうなる?

曖昧であればあるほど、受け手によって様々な解釈が生まれ、考えるべきことにたどり着かないのがオチです。

使っている本人自身に、具体的なイメージがあればまだマシですが、考えることを諦めた or 考えた気になっていると危険ですね。

クリティカルシンキングは日々のトレーニングで鍛えられる

クリティカルシンキングの定義から、使いやすい要素を紹介しました。しかしながら、クリティカルシンキングはまだまだ奥深い考え方なので、ほんの一部しかお見せできていません。

ぜひ、本を手に取るか、グロービス学び放題を通して理解を深め、実践しまくってみてください。理屈は分かっても、使わなければ、全く身につかないのがクリティカルシンキングです。