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ティール組織にとって組織文化は重要なのか?〜組織を科学する#01〜

ティール組織において、どのような組織文化を形成すべきであるか。また、現在の組織文化がティール組織とマッチするのか。など、本を読んでいて疑問が募りました。第7章に詳しく書かれている内容を、自分なりに解釈してまとめて見ました。

ケン・ウィルバーの4象限から考える組織文化の重要性

インテグラル理論を提唱するケン・ウィルバー氏の4象限を用いて考えていきます。以下のように、あらゆる現象は4つの側面が存在しており、それぞれの4つの角度から眺めることで構造を理解できるとするものである。

・内面的な次元:思考や感情、感覚などつかんだり測定できない側面
・外面的な次元:行動や構造など、観察や測定できたり、モデル化できる側面
・個別的な次元:1つ1つ切り離すことができる側面
・集合的な次元:つながりや相互関係があり広い文脈からの側面

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概念だけではわかりにくいので、ティール組織の著書で紹介されている達成型(オレンジ)と多元型(グリーン)にあてはめて考えてみます。

達成型組織では外面的な次元から内面的な次元が形成される。

達成型では、外面的な次元だけで語られます。よって、内面的な次元は外面的な次元によって、自然に形成されるものと考えられます。

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達成型では、まず、トップダウンによる数字目標が与えられます。評価基準も個人成績で決まるため、自然と行動自体も、目標達成が優先され、達成のためには手段を選ばないようになります。

また、行動によって人々の考えや心の持ちようはかたちづくられますので、「お金や成績に対する賞賛」によってのみ、モチベートされます。組織の一人ひとりの価値観が組織文化に影響を与えるため、チームプレイや助け合いよりも、個人の達成を優先するのが当たり前になるのです。

多元型組織では内面型に比重が大きすぎて、外面的な次元との整合性がとれない。

多元型組織では、達成型組織に反して内面的な次元に重きを置きます。したがって、外見的な次元の多くは、従来の達成型の名残か、内面的な次元から派生したものとなります。

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多元型では、個人の感情や価値観が優先されます。労働環境や人間関係、個人の目標や日常生活など、多様な価値観が尊重されます。したがって、組織文化は個人の多様な価値観が尊重され、一人ひとりの幸福や豊かな人間関係などが大事とされます。

一方、外面的な次元の右下では、従来型の階層型組織構造が残っていることが多くあります。意思決定や判断は社員一人ひとりの意見や考えを反映するために、上司は部下の声に耳を傾け、権力を行使しないように努めます。したがって、一人ひとりの行動エネルギーは、文化の維持に注がれます。

ティール組織では組織構造やプロセスから派生し、すべてが組織文化つながる。

ティール組織は、右下の組織構造やプロセスからスタートします。組織の存在目的や自主経営を前提とした組織構造、プロセスや組織慣行を整備します。

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そして、社内で信頼されている人々が、組織文化づくりのために模範的行動を起こし、リーダーシップを発揮します。リーダーシップ行動によって、組織全体の行動変革を起こし、組織構造やプロセスを浸透させます。

左上の次元では、多元型と同様に個人の価値観や考え方を尊重します。一方で、組織のあり方や組織文化も重要だと考えます。そのため、自分自身の考えや価値観が、どのように組織の存在意義とつながり、どのような行動が組織文化にプラスに働くかを探究し続けます。

右下、右上、左上のすべての象限が組織文化の形成につながり、また、組織文化の影響により、すべての象限も変わっていくのです。

組織文化が持つ影響は偉大だが、文化への投資に関する重要度は低い。

ティール組織においても、多元型組織と同様に、組織文化は重要な位置づけであることはわかりました。組織文化と連動して、4象限すべてが定義され、進化し続けるからです。

多元型組織と大きく異なるのは、外面的な次元も重要とされ、組織構造や個人の行動も変革しているため、「組織文化を維持するぞ!」のエネルギーはさほど必要性がないのです。

参考文献

ティール組織を学ぶのはこちら。僕は、読むのがキツイのでオーディオブックで流して、深掘りは紙の書籍という二刀流でございます。

ケン・ウィルバーのインテグラル理論はこちら。