葛藤

鳥のさえずり、風に戦ぐ木々。朝6時半。通学中の彼は葛藤に悩まされていた。
(今日も完璧な策を練らねば!)
「どうしようかな〜。どうしようかな〜。どうしようかな〜。どうしようかな〜。」
彼にとっては日常茶飯事でなれていたことだった。だがしかし、さすがの彼にも限界がいつかは来る。今日で千十八通り目の策をひねり絞り出していた。どのようにして今日の英語・国語・世界史・化学の授業を乗り越えるか。ただそれをひたすら永遠に。彼には、宿題をするという習慣が無かった。中学の頃から今日(高校2年)まで、家で宿題をしたことがない。ゴールデンウィーク明けということもあって、課題は山のように溜まっている。しかも、春休みの英語の課題も2つ残っている。いい加減将来のために、やろう!という気にはならないのだろうか。そうして、まず課題をやるかやらないかを三十分考え、それから三十分どんな言い訳を先生に言うかをひたすら考えていた。
結果、世界史は友達の答えを写し解決、英語は家で飼っている猫に破られ、国語は宿題のプリントをポッケットに入れていたらトイレに行ったときに落ちて流してしまった、化学は外で勉強していた時に強風によって飛ばされたという結論に至った。
約一時間という時を彼にとっては貴重な時間として使えたのではないか。主の自転車としてこれからも頑張ればならぬな。

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