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どうぶつの森で学んだこと:自由と選択、割り切り

朝からいい天気。暖かかった昨日と比べると少し落ち着いているけど、それでも暖かい。ベランダに出て風を浴びるのが気持ちいい。

今日は何をしようか。この生活の毎朝の問いである。
妻はだいたいその日つくる料理やおやつがあるみたい。僕は仕事があるときは仕事をするけど、少し落ち着いてもいるので、空き時間に何をするか考える。だいたい思い浮かばないのでゲームをしたり、少し本を読んだりする。

そうそう、どうぶつの森にはまっている。
妻は前からずっとやっていて、今作も半年以上前から楽しみにしていた。そのせいか僕も気になっていたので、発売日にふたりで買って遊んでいる。スマホ版のポケットキャンプで少し遊んだことがあったが、長続きしなかった。あらゆるものの中から街や家の色を変えたり、アイテムをレイアウトしたりという自由さが苦手なのだ。

今までファッションやインテリアに興味がわかなかったのも自由だからだ。自由であることには責任が生じる。自分で選んだものに自信がもてない、何が好きなのかわからない。失敗も怖いし、そんな状態で積み重ねたその先にできあがったものを果たして好きになれるか―。これまでも、お得意のネットサーフィンで最大公約数を追っかけて、他人が選んだなんだかよさそうなものをあたかも自分で選んだように見せてきただけなのだ。

話が逸れたけど、どうぶつの森の話。
「なにもないから、なんでもできる」というコピーがついているゲームを、自由から逃げてきた僕がどう遊べるのか。おもしろい検証である。発狂してすぐにやめちゃわないか心配。

結果... すごく楽しんでいる。それも価値観が180度かわるように。
妻の真似をして毎日ログインしてタヌポータルを覗き、たぬき商店にお邪魔し、エイブルシスターズの試着室に入り浸り、自分で作っていく楽しさを感じている。

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↑ バラが口にくわえられることを知って、バチェラーで見たことのあるようなシチュエーションを作ってみたり。

とにかく自由だ。木の枝や木材や石ころを手に、ここから何を作るかからも選択が与えられている。椅子をつくるのか、テーブルをつくるのか。ゲームを進めていくごとに「DIYレシピ」が増えていき、材料から作れものも増えていく。これが難しい。作りたいイメージがないと何も作れない。たぬきちによるゆるやかな進行はあるけれど、これはほとんどルールの説明くらいなもので、それ以外は自由だ。

なのでまず作りたいものを考えていく。「ここは農園」「ここは遊び場」「ここはユリの丘」と、自分が作りたいイメージを描く。そしてそれぞれをいかに充実させられるか。作れるようになったものや島で採れるもので隙間を埋めていくとなんかちょっとイメージが作れてきて楽しい。ゲームを進めていくとエンドロールに出会うけど、これもあってないようなもの。エンディングを過ぎてから本当のゲームがはじまる。

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↑ 決めないと何も進められないということで、僕は島を花で埋めることにした。

ゲームスピードのコントロールもうまくできていて、一日で進められるところが限られている。花は次の日にならないと咲かないし、お店も夜になると閉まる。自然とゲームに向かう時間も限られるので健康的にもうれしい。

しかし、ゲームを進められるかという当初の不安は吹っ飛んでしまった。何がよかったのか。自由と対峙する。自分で決めていくことが怖くない。むしろ決めないと進まない。ゲームという限られた空間でリセットが効くことも功を奏しているかもしれない(もちろん時間は取り戻せないのだが)。

僕自身も少しずつわかってきていたのだと思う。自分はひとつに限定されなく、ゆえにひとつにまとめることは難しい。だからこそ、仮にでもひとつを決めてそのイメージに邁進していく。それは決して自分を表現するものでなくてよくて、はじめは誰かのまねごとでもいい。そういう意味では僕はよく妻の真似をしているし、最近はSNSでいろんな島を見るのが楽しみになっている。

翻って現実。どうぶつの森で遊んだ経験が少しずつ生きているような気がするのだ。散漫する自分はひとまず置いておいて仮にひとつを決める。その中を生きる。そう進めた中に散漫する自分を表現する。個性や人間性は一言で説明できないということを受け止めつつ、表現においてはわかりやすい窓口を設置する。今までこの“割り切り”が上手くできずに悩んでいたのだと思う。この自粛期間中、ゲームからとても大切なことを学んだような気がする。

水のかがやきや虫が飛ぶさま、住民同士のやり取りや言葉の言い回しなど、あらゆるディテールに気が配られ、現実同様にハッとしてしまう。手に入りにくいということだけど、ぜひ遊んでほしいゲームです。

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↑ レトロな雰囲気にしてみた部屋。

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