「雨上がりの猫とトモ」
静かな町の片隅で、人々の視線から隠れるようにして、トモはその日も何もしなかった。彼の部屋はごみの山、食べかけのインスタントラーメンのカップが散乱し、洗濯物はいつからたまったのかさえ思い出せない。トモはいつしか「ダメ人間」と町の人に囁かれるようになっていた。
彼はかつては違った。町の明るい未来を夢見る青年だった。だが、夢を追うことの厳しさに心を病み、次第に世間から身を引いていった。そんな彼に変化が訪れたのは、ある雨の日のことだった。
ドアを叩く音に煩わしげに目を覚ましたトモ