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死にたいって誰かに話したかった

以前読んだ本の読書感想文を書こうと思う。

タイトルに惹かれて買った。
うまく生きられない主人公たちが「生きづら会」を結成して、ぽつりぽつりと自分の思いを吐き出しては悩んで、振り返って、進んで。

読みながら自分に重ね合わせる場面がとても多くて、味わいすぎたせいで読み進めるのに時間がかかった。

不思議な5人なんだよな
友達ではないけど、仲間ではある。
この人たちが出会えて良かった。
現実はままならないけど、それでもどん底ではない。

主人公 奈月の空回り加減が自分を見ているようで、痛くて惨めで読むのが苦しかった。
その瞬間は自分を俯瞰で見ることができなくて、後から思い返して死にたくなるような。
分かる。
分かりすぎる。

雄太の、恋愛や女性への憧れのような執着も、読んでいて苦しかった。
私は女で異性愛者だけど、
女性に受け入れてもらうというのは、性愛ではない安心があると思う。
存在の肯定。
無条件の受容。

性欲と恋愛がまざって分かりにくくなってしまうけど、男性が女性に受け入れられる時に得られる安心感というのは、ものすごいんじゃないだろうか。
体と心、存在そのものを丸ごと許してもらえるような。

雄太は「それを経験していない自分」へのコンプレックスが強くて、本当は欲しくてたまらないのに女性サゲをしてる。
なんか分かる。

めちゃくちゃ欲してるのに手に入らない苦しみ。
それを敵意に変えて攻撃しないと、やってられない気持ち。


親子間の愛着についても描かれてて、辛くて泣きながら読んだ。
奈月が母に会いに行ったシーン、母親にそんなこと言われたら生きていけないよ。
奈月にみんながいて良かった。

想像しているものは何も手に入らないかもしれないけど、その虚しさすら内包して生きていく。

(うーん だいじょうぶかも。)
と思える最後でした。

いい本に出会った。
読み終わってからずっと部屋に飾っている。


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