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アダム・スミス『国富論』4(2024年6月26日)

『国富論』を読んでいる。再三書いているように、この本は本当に多彩で網羅的な内容が書いてあり、これを本気で読めば、確かに経済学を身につけられそうだ。訳者が書いているように、アダム・スミスのすごいところは、本当の原因にまでさかのぼり、さらにそれを整合的に説明しようとしているところだろう。学とは本来そういうものであって、数学を使って説明すればいいわけではない。もし私が経済学部にいたときに本気でこの本を読んでいれば、他の講義などどうでもよかったかもしれない。始まりとはやはりすばらしい示唆と感動に満ちている。

まだ読み込めていないのでここでは何を書こう。もう一度構成について書いてみよう。『国富論』は1、2篇が理論、3、4篇が経済学説の概観、5篇が経済政策論であるが、3、4篇もなかなかおもしろい。当時の主流だった重商主義の説明も詳しい。ただ詳し過ぎて、要約したい人には向かないかもしれない。だからきっとアダム・スミスは誤解されている。教科書で書けるほど簡単なことなどいっていないのだ。

だから、公務員試験で出る経済学など愚の骨頂だと思う。教養としてはいいだろうけど、それを知っている人は何を知っているのだろう。わかりやすさとはいつでも失うものが多い。始まりの経済学はこれほど難しい。需要曲線と供給曲線の図は思想の伝播には成功しただろうが、何もわからないのに語る人々を増やしたに違いない。では私はわかっているだろうか。それは多分わかっていない。私もそれに与している。

凡人がこれを読むのはおそらく間違っているだろう。しかし本気で経済学を身につけたい方は読んでほしい。アダム・スミスの思想は死んでいない。

(続く…)

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