473: Thelonious Monk / Ruby, My Dear

「ワルツ・フォー・デビー」のデビーとは、ビル・エヴァンスの姪の名前でした。
ジャズ・ミュージシャンが書いた名前入りの曲というと、巨匠セロニアス・モンクが書いたこの曲を外すわけにはいかないでしょう。
モンク・ナンバーというと、「どうやったら、そういうフレーズを思いつくんだろう?」という風変わりな曲が多いですが、この曲は、ただただ美しい、珠玉のバラードです。
彼自身何度も録音しており、名演も多く、どのヴァージョンを選ぶか、実に悩ましいところです。
コルトレーンと共演した『セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン』(1957年録音)も、晩年のソロ『ソロ・モンク』(1965年録音)もいいですが、ここでは、この曲の最初のレコーディングとなった1947年のブルーノート録音を選びました。
ここぞというタイミングで入る不協和音は、75年(!)経った今でも、モンクの「専売特許」として通用しています。当時の人からすれば、おそらく理解の範疇を超えた音楽だったに違いありません。
ちなみに、この曲のルビーが誰なのか、諸説あって定かでは無いようですが、「モンクの姉の友人で、モンクの初恋の女性の名前」というロマンティックな説を、個人的には推しています。

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