176: The Band / I Shall Be Released

リヴォン・ヘルム、リック・ダンコとくれば、トリはリチャード・マニュエルに登場いただきましょう。
ザ・バンドではピアノ以外にドラムも叩くなど、彼もマルチ・プレイヤーですが、最大の魅力は、やはり唯一無二のヴォーカルでしょう。
土着的で大らかというザ・バンドのイメージとは対照的な、神経質なまでに繊細な彼の歌声があったことが、ザ・バンドのサウンドの幅を広げていたことは間違いありません。
その代表と言えるのが、1stアルバム『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』に収録されたこの曲。ボブ・ディラン作のこの曲で、彼はファルセットを使った実に印象的なリード・ヴォーカルを披露しています。
「いつの日か、僕は解き放たれるんだ」というサビのリフレインを聴いていると、本当に切なくなってきます。
最初は『ラスト・ワルツ』でのライヴ映像を貼ろうかとも思いましたが、コンサートの終わりにディランを囲んで大団円、という雰囲気はこの曲に似つかわしくないような気がして、アルバムヴァージョンにしました。
リチャード・マニュエルは1986年に自殺。1999年にはリック・ダンコが、2012年にはリヴォン・ヘルムが亡くなっており、ザ・バンドの『3枚看板』はもう誰もこの世にいないと思うと、本当に寂しいです。

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