293: The Clash / Train In Vain (Stand By Me)

パンク・ロック・バンドは、比較的短命で終わることが多いですが、その原因の1つとして、基本的に演奏力が高くないため、サウンドがマンネリ化しやすく、飽きられるのが早い、という理由があると思います。
まあ、パンク・バンドにテクニカルさを求めるべきではないのかも知れませんが...
そんな中にあって、ザ・クラッシュは、レゲエ、ロカビリー、スカ、R&B等々、様々なジャンルの音楽を取り込みながら活動を続けていきました。
それが出来たのは、元はジャズ・ドラマーであったトッパー・ヒードンの確かな技術があったことが大きいように思います。
3枚目のアルバム『ロンドン・コーリング』収録のこの曲におけるヒードンのドラムは、機械のように正確なビートと、小節の終わりに入るオープン・ハイハットが印象的で、後のロック・ドラマーに与えた影響も大きいと思われます。
彼がオーディションで加入していなければ、2ndアルバムは「1stの二番煎じ」になっていたかも知れず、もしかすると、名盤『ロンドン・コーリング』は誕生していなかったのかも知れません。
そう考えれると、ヒードンの加入がロンドンパンクの歴史を変えたと言えるかもしれません。
ちなみに、この曲、元々アルバムに収録する予定ではなく、音楽誌『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』付録のプロモーション用ソノシートになる予定でした。しかし、その企画が無くなったため、急遽、アルバムに収録されることとなりました。
そんな経緯から、当初はジャケットに曲名が書かれておらず、「隠しトラック」という扱いを受けることになったという面白いエピソードがあります。

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