273: Bob Dylan / Girl from the North Country

「見張塔からずっと」のオリジナルを収録したディランのアルバム『ジョン・ウェズリー・ハーディング』は、ロック色が影を潜め、アコースティック・ギターとハーモニカが中心のサウンドであったため、フォーク回帰とも受け止められた作品でした。
その傾向は、続く『ナッシュヴィル・スカイライン』にも受け継がれ、カントリー・アルバムとも呼べる内容でした。
アルバムのオープニングを飾ったこの曲は、1963年リリースの『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』収録曲のセルフ・カヴァー。
こちらのヴァージョンには、カントリー・ミュージックの大御所、ジョニー・キャッシュがゲスト参加し、ディランとデュエットしています。ドスの効いた彼の声は、いつ聴いても強烈な存在感です。
そして、このアルバムの大きな特徴として、ディランの歌が、いつものしゃがれ声ではなく、非常に澄んだ声であることが挙げられます。
この曲にしても、知らずに聴いたら、歌っているのがディランと気づかない人も多いのではないでしょうか。
本人曰く「タバコをやめたら、この声になった」とのことですが、本当かどうかは諸説あるようです。

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