209: Simon & Garfunkel / The Sounds of Silence

『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』のプロデューサーは、アンディ・ウォーホルですが、「日曜の朝」のみ、トム・ウィルソンがプロデュースしています。
トム・ウィルソンは、ヴェルヴェッツの他にも、ボブ・ディランやザッパ&マザーズなど、多くの大物ミュージシャンをプロデュースしていますが、彼にまつわるエピソードで最も有名なのは、サイモン&ガーファンクルのこの曲での「事件」でしょう。
サイモン&ガーファンクルは、1964年に1stアルバム『水曜の朝、午前3時』をリリース。プロデューサーはトム・ウィルソンで、「サウンド・オブ・サイレンス」はアコースティック・ギターのみの伴奏でした。
しかし、アルバムは全く売れず、デュオは解散。ポール・サイモンはロンドンへ渡り、アート・ガーファンクルはコロンビア大学に戻ります。
ところが、デュオの運命は、この後思いもよらない方向へ進みます。
1965年、ボブ・ディランの「ミスター・タンブリング・マン」を、ザ・バーズがフォーク・ロックにアレンジしたヴァージョンがNo.1ヒットになったことをヒントに、トム・ウィルソンは「サウンド・オブ・サイレンス」の音源に、本人たちには無断でエレクトリックのバンド・サウンドをオーヴァーダブします。
これがシングルでリリースされると、1966年1月にはNo.1に昇りつめる大ヒットを記録。これがきっかけデュオは再結成され、その後の大成功へとつながります。
まあ、今こんなことやったら、大炎上どころでは済まないでしょう。
しかし、この「暴挙」がなければ、『ブックエンド』も『明日にかける橋』もなかったと考えれば、音楽の歴史に対しては大きな貢献だったとも言えます。

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