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The Association / Birthday

今日は天皇誕生日。なので、誕生日にちなんだ作品を。

原田知世さんの『バースデイ・アルバム』にしようかとも思いましたが、それはまた別の機会に。

今回は、所謂「ソフト・ロック」を代表するバンド、アソシエイションが1968年にリリースしたアルバム『バースデイ』です。

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ジャケットのデザインや色使いを見るだけでも、「サイケ」時代の作品だなぁ~と実感します。

音の方も同様で、幾重にも重ねたコーラスワークやメロディックなベースラインは、ビートルズビーチ・ボーイズの同時期の作品とオーバーラップする部分が多いです。

言い換えると、ちょっと「やり過ぎ」感があって、そのあたりが、前作『インサイト・アウト』ほどの売り上げにはつながらなかった原因かも知れません。まあ、単純に「Windy」「Never My Love」クラスのヒット曲が生まれなかったから、だけなのかも知れませんけど。

とは言え、その「やり過ぎ」こそがこのアルバムの聴きどころです。

アルバムは「Come On In」でスタート。

ベースのリフで始まり、ギター、ドラム、ピアノと楽器が増えていき、そこにボーカルが入り、コーラスが重なる。これぞ、ソフト・ロックの「王道」と言った感じの曲です。

アルバムからのシングルヒット(US10位)となったのが、「Everything That Touches You」

イントロのベースから、最後の「Love」「Love」と全員で掛け合うコーラスとホーン・セクションまで、完璧な「ポップ・ソング」だと思います。コーラスも、カチッとハモるのみでなく、唐突に「フー♫」と入ってきたりする変幻自在な部分があったりして、飽きさせません。

惜しむらくは...「恋にタッチはご用心」という邦題。直訳でもないし、曲の美しさをご破算にする俗っぽさ。これは勘弁してほしいです。

アルバムからのもう1曲のヒット曲が「Time For Livin’」

軽快な曲調で、エンディングの転調を繰り返すところとかひねりも効いているんですが、若干地味ですかね~。そのあたりがUS39位という、これまた地味な順位で終わった理由かもしれません。

ただ、これは必ずしも悪い意味ではなく、アルバムのコンセプトがしっかりしていて、全曲に統一感があるというプラスの一面でもあります。

この辺りは、プロデューサーのボーンズ・ハウの力量によるところが大きいように思います。

そして、アルバムはそんな空気感を漂わせたまま、最後の「Birthday Morning」でラストを迎えます。

イントロのハープシコードのか細い音色に始まり、最後は「God bless this morning」のコーラスとホーンセクションの「音の飽和感」に包まれる、まさに至福のフィナーレです。アルバムを締めくくるにふさわしい名曲だと思います。


この時代に制作された多くのアルバムに言えることですが、やっぱりアルバムは、最初から最後まで、通して聴くことが重要ですね。

こうして1曲ずつの紹介では、曲の魅力は語れても、アルバムの素晴らしさは伝わらないと実感しました。

ご興味をもたれた方は、ぜひアルバム通しで聴いてみてください。


このアルバムを境に、アソシエイションは下降線をたどります。

ジミー・ウェッブが彼らに提供した曲「MacArther Park」を、アソシエイションは拒否。これが原因で、ボーンズ・ハウはバンドの元を去ります。

そして、彼らが拒否した曲は、リチャード・ハリスが歌い、US2位、UK4位の大ヒットとなります。(さらに、1978年にはドナ・サマーがディスコ・ヴァージョンをリリースし、US1位、UK5位のこれまたビッグヒットに。)

かたや、アソシエイションは、映画「Goodbye, Columbus」のタイトル曲がUS80位となったのを最後にヒットから遠ざかります。

(その後のことはほとんど知らなかったのですが、Wikipediaによると、1978年に一度解散するも、翌1979年に再結成し、現在も活動中のようです。)


- アソシエイションが「MacArther Park」をリリースしていたら

- 引き続きボーンズ・ハウがプロデュースをしていれば

もしかすると、彼らはその後もヒット曲を連発していたかもしれませんが、それは誰にも分かりません。

ただ、彼らが『Birthday』という名作をリリースし、50年以上過ぎた今でも聴き継がれていることだけは間違いありません。

(もしかすると、リスナーの多くが、元「渋谷系」好きだったりして⁉)

【おまけ】

アソシエイションを聴いたことのない人のために、「Windy」「Never My Love」を貼っておきます。


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