728: Joe Jackson / Home Town

ジョー・ジャクソンと言えば、様々な音楽を取り込む柔軟さと、頑固で偏屈な芸術肌を併せもつミュージシャンというイメージがあります。
1986年のアルバム『ビッグ・ワールド』(UK41位/US34位)は、後者の典型のような作品でした。
レコーディングはライヴで行われ、各パートの音源はその場で2チャンネルにミックスダウンされるので、後からの録り直しは出来ないという、「誰得?」と聞きたくなるような方式が採られています。
そして、会場にはその「証人」として観客を招き入れる(ただし曲が完全に終わるまで拍手や歓声は一切禁止)という徹底ぶり。
私のような凡人は、普通にマルチトラックで録音して、後から落ち着いてミックスダウンすれば良いじゃない、と思ってしまいますが、やはりそれでは違うのでしょう。
ギターのクリーン・トーンが美しい、ノスタルジックなこの曲でも、「途中でミスしたら、最初からやり直し」のピリピリとした緊張感が伝わってきます。

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