472: Waltz For Debby / Bill Evans Trio

タイトルに「ワルツ」が付く曲では、「テネシー・ワルツ」と並んで有名な曲と言っていいでしょう。
ビル・エヴァンスが書いたジャズ・スタンダードのこの曲、最初は1956年のデビュー・アルバム『ニュー・ジャズ・コンセプション』に収録されました。この時は、ピアノソロによる演奏でした。
この曲の知名度を一気に高めたのが、1961年6月にヴィレッジ・ヴァンガード出演時の演奏を収録した、同名のライヴ・アルバムでした。
スコット・ラファロとポール・モティアンとのピアノ・トリオによる演奏ですが、ここでのラファロのベースは、4ビートを基調とした「リズムキーパー」的な役割を超え、時にメロディ楽器のようなフレーズを繰り出しています。
エヴァンスのピアノのもつ繊細な美しさに、ラファロの変幻自在のベースが加わったことで、この曲の魅力が何倍にも増すこととなりました。
また、あまり語られることはありませんが、そんな2人に負けない巧みなブラシワークを聴かせるモティアンも、もっと評価されてしかるべきだと思います。
しかし、この歴史的名演からわずか11日後、ラファロが交通事故により25歳の若さで他界します。
最強のピアノ・トリオによる録音は、この日の演奏が最後となりました。

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