193: The Stranglers / Walk On By

バカラック・ナンバーはメロディアスな曲が多いので、カヴァーも比較的ソフトなサウンドが多いようですが、そんな中にあって、かなり例外的なのが、ストラングラーズによる「ウォーク・オン・バイ」。
この曲も、オリジナルはディオンヌ・ワーウィックで、1964年にUS6位/UK9位のヒットを記録しています。
ストラングラーズのヴァージョンは、1978年リリースの3rdアルバム『ブラック・アンド・ホワイト』(UK2位)に初回特典EPとして収録され、シングルでもリリースされています(UK21位)。
ストラングラーズは、ロンドン・パンク・ムーヴメントの中で登場したバンドですが、一般的なパンクバンドとは異なる、かなり特殊なバンドでした。
ドラムのジェット・ブラックは、デビュー当時すでに30代後半で、会社を経営する実業家。キーボードのデイヴ・グリーンフィールドは音大卒。ベースのジャン・ジャック・バーネルは、三島由紀夫を敬愛する空手家。そして、ギターのヒュー・コーンウェルは生物学の博士号持ち。
探してもなかなか見つからない、超個性派ぞろいです。
この曲で聴かれる、長めのキーボード&ギター・ソロも、若さと勢いだけのパンクバンドには真似の出来ない、しっかりとした構成力をもつバンドであることを示しています。加えて、曲を通して聴かれるゴリゴリのベースが、バンド・サウンドの強烈な推進力となっています。
オリジナルメンバーはジャン・ジャック・バーネル1人になった現在も、バンドは継続しているようです。

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