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画像生成AIと著作権について

今回、画像生成AIに関わる著作権について、わたしなりに調べたこと、そして、その感想について簡易ながら記したいと思います。

(注)わたしは著作権に関して専門家ではないので、以下の記事の「(個人的感想)」と示すところはあくまでわたしの私的な意見に過ぎません。

したがって、より正確な情報については、各自で改めて調べていただいたり、専門家の方に伺ったり、引用元を参照のこと、お願いします。

もとより、著作権はかなり広範囲で大きな対象であり、判断の微妙な事例については専門家間においても様々な考えがあるようですし、何か争議が発生するような場合は個々の事例について裁判しないと結論がでないものでもあります。

ここでの記載はあくまで引用元の主軸をメモしたものと思っていただければと、思います。

本稿では主に次の著述を引用しました。

(引用元)

1)『AIと著作権』
文化庁公式HP

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/93903601_01.pdf

2)『【絵師・イラストレーターさん向け】主に著作権法上気を付けることーAIイラスト、著作権法改正等ー』
note / 田本伸雄著(弁護士)
https://note.com/ntamoto/n/n38f7f3051817


本著では以下の疑問点3点について、記したいと思います。



(1)画像生成AIで生成した画像の利用は著作権上問題があるのか

(先に結論)
画像生成AIにより生成した画像は、著作権を侵害していない限り(つまり、既存の著作物に対して類似性や依拠性が認められなければ)、著作権上は問題がない。

この点において、AIを利用して画像等を生成した場合でも、著作権侵害となるか否かは、人がAIを利用せず絵を描いた場合などの、通常の場合と同様に判断される。

このことについて、文化庁の解説スライドのp43には次のように記載されています。

(p43)
AIを利用して画像等を生成した場合でも、著作権侵害となるか否かは、人がAIを利用せず絵を描いた場合などの、通常の場合と同様に判断されます。
⇒「類似性」及び「依拠性」による判断

『AIと著作権』文化庁公式HP


(個人的な感想)これは分かりやすく、納得のゆくものではなかろうかと思います。

つまり、人の絵であろうと、AIで作ったものであろうと、著作権の基本的な考えは同じとゆうことです。

また、「画像を生成する」点においては、画像生成AIの開発は対象になってはおらず、画像生成AIを使用するユーザーにかかる部分である、とゆうことが重要であると思われます。

ここで、注意しなければならないことは、AI生成画像が著作権を侵害しているか、いないかについて、そのAI使用者が確認する必要性があるとゆうことです。

何故なら、手書きと異なり、AI使用者はAI生成画像の作成工程の内容を知らないためです(画像の作成意図や工程がAI使用者の外側にある)。

なので、AI使用者が気づかずに、著作権を侵害している可能性があるからです。

(2)画像生成AIの開発において既存の画像を学習させることは著作権上問題はあるのか

(先に結論)
AI開発のための情報解析のように、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能である。

ただし、「享受」を目的とする利用行為が含まれる場合は、この限りではない。

このことについては、文化庁の解説スライドのp29~40に記載されています。

(p37)
AI開発・学習段階での著作物の利用[AI開発・学習段階 (法第30条の4)]
• 著作物を学習用データとして収集・複製し、学習用データセットを作成
• データセットを学習に利用して、AI(学習済みモデル)を開発

AI開発のための情報解析のように、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能です(権利制限規定)

(p38)
これに対して「享受を目的とする利用行為」には本条は適用されません。
享受を目的とする利用行為 → 原則通り著作権者の許諾が必要
また、主たる目的は、情報解析の用に供する場合のような非享受目的であるものの、これに加えて享受する目的が併存しているような場合は、このような利用行為には本条は適用されません。

『AIと著作権』文化庁公式HP

(個人的な感想)このことについてのわたしの解釈では、原則は、AI開発(学習)のためには既存の著作物を利用しても良い、です。

ただし、「享受」を目的とする利用行為が含まれる場合は、このような利用はできない。

「享受」について、次のように解説しています。

(p36:『享受』とは)
『法第30条の4の「享受」とは、著作物の視聴等を通じて、視聴者等の知的・精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられた行為をいいます。
《「享受」といえる行為の例》
                  文章の著作物 :閲読すること
                  音楽の著作物 :鑑賞すること
                  プログラムの著作物 :実行すること
                  映画の著作物:鑑賞すること

・著作権者が著作物から得ている経済的利益は、通常、こうした知的・精神的欲求を満たすという効用を得られることの対価として支払われるものであると考えられます。

・この反面として、非享受目的の行為については、これを著作権者の許諾なく行えることとしても、著作権者の経済的利益を通常害するものではないと考えられます。

※そのため、法第30条の4では、「享受させることを目的としない」場合であれば、「非営利目的か否か」、「研究目的か否か」といった点を問わず、著作権者の許諾を不要としています。

『AIと著作権』文化庁公式HP

(p40:ただし書きに該当するか否かの判断について)
ただし書に該当するか否かは、著作権者の著作物の利用市場と衝突するか、あるいは将来における著作物の潜在的販路を阻害するかという観点から、最終的には司法の場で個別具体的に判断されます。

『AIと著作権』文化庁公式HP

(個人的意見)
  ここで「享受」における著作権侵害とは、従来考えられる著作権侵害、つまり他者の著作物を許可なく販売(あるいは無料公開)してしまうような行為(たとえば、『漫画村事件』や『ファスト映画事件』のようなこと)、既存の著作物そのものを元著作者に許可なく享受(購読、視聴、あるいは使用)する・させてしまう行為のことかと考えられます。


(3)画像生成AIで生成した画像自体に著作権はあるのか

(先に結論)
画像生成AIで生成された画像そのものの著作権の有無については、ない場合と、ある場合がある。

その有無の判断について、文化庁の解説スライドのp55~60に記載されています。

(p57:著作権がない場合)
AIが自律的に生成したものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられます。

(例)人が何ら指示※を与えず(又は簡単な指示を与えるにとどまり) 「生成」のボタンを押すだけでAIが生成したもの ※プロンプト等


(p57:著作権がある場合)
これに対して、人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられます。

※前掲・著作権審議会 第9小委員会(コンピュータ創作物関係)報告書

『AIと著作権』文化庁公式HP

「人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用した」ことについては、文化庁の解説スライドのp58~59には次のように記載されています。

(p58~59)
人がAIを「道具」として使用したといえるか否かは、人の「創作意図」があるか、及び、人が「創作的寄与」と認められる行為を行ったか、によって判断されます。

(「創作意図」とは)
・「創作意図」とは、思想又は感情を、ある結果物として表現しようとする意図を指します。

※創作意図は、生成のためにAIを使用する事実行為から通常推認しうるものであり、また、具体的な結果物の態様についてあらかじめ確定的な意図を有することまでは要求されず、当初の段階では、「AIを使用して自らの個性の表れとみられる何らかの表現を有する結果物
を作る」という程度の意図があれば足りると考えられます。

(「創作的寄与」とは)
どのような行為が「創作的寄与」と認められるかについては、個々の事例に応じて判断することが必要ですが、生成のためにAIを使用する一連の過程を総合的に評価する必要があると考えられます。

『AIと著作権』文化庁公式HP

(個人的な意見)
 このことについては、根本的に難しいとゆうよりも、今のところまだ「AI」とゆう事象が始まったところであり、その対処に追いついてゆかない部分もあるような気がします。

ただ、少なくとも、たとえて次のものは、著作権を有すると解釈しています。

・AIで生成した画像によるマンガ、コミック作品
・小説の挿絵(小説上のストーリーと連結する画像)など

※AI生成画像の使用は単体ではなくマンガや小説と一体となって作られたものなど。

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